Fearlessなマインド・行動を
「Marketing Nation Summit 2018」は、米マルケト社が主催するイベント。約6,000名のマーケターが一同に集い最新の情報が共有される。初日のキーノートで登壇したのは米マルケト CEOのスティーブ・ルーカス氏。昨年は「Engagement Economy」をテーマに掲げていたが、今年のテーマは「The Fearless Marketer」だ。
冒頭ルーカス氏は大学およびコンサルティング会社がマーケター向けに行った調査を紹介。マーケターを取り巻く環境が著しく変化していることが明らかであり、新しい役割も求められているという。激しい環境変化に対してルーカス氏は次のような見解を示した。
「環境変化が著しいです。ご存知のとおり過去のマスマーケティングの時代は終焉し新しい時代が始まっています。日々新しいつながりが生まれるのが日常になった今、ブランドは自分たちがコントロールするものではなく顧客がコントロールするものになっています。『量』ではなく『価値』が重要であり、今こそお客様との関係性を捉えなおす大きな機会です。これまで経験したことがない環境下においては『Fearless(恐れを知らない・大胆な)』マインドや行動が、マーケターに求められています」
このような環境変化に合わせ、同社が提供するマーケティングプラットフォームは進化を遂げている。注力ポイントとして以下の5つの点を挙げ、それぞれのアップデート状況および新機能について共有された。
- プラットフォームの拡張
- エクスペリエンスの改善
- アナリティクス機能の向上
- マーケティング&セールスの連携
- AI活用の推進
プラットフォームの拡張、AIの推進
まず紹介されたのがプラットフォームの拡張についてだ。ルーカス氏は「ONE PLATFORM.EVERY ENGAGEMENT.ANY CHANNEL」というコンセプトに触れ、プラットフォームの拡張のために多大な投資を続けていると強調。加えて、これまで500社以上の企業が同社のパートナーエコシステムに参加している点についても紹介し、自社のプラットフォームの強みの1つが「オープン性」にあると主張した。
「顧客との関係性を維持、強化するためにはプラットフォームの拡張性が必要です。私たちのプラットフォーム上では4,000億回以上のマーケティングアクティビティのデータが蓄積されております。驚きますよね。今後もデータが増え続ける中で、それを有効に活用できるプラットフォームとして拡張していきます」
同社は昨年8月にGoogle Cloudとの提携も発表している。この提携の狙いは拡張性や信頼性の向上はもちろんだが、Googleが提供する機械学習機能の活用も視野に入っており、今回挙げられた注力ポイントの1つであるAI活用とも重なってくる。「今、最も投資している分野はAI」とルーカス氏は明かし、AI活用を積極的に推進していくことを改めて強調した。
具体的な機能としては、それぞれの顧客に対して最適なコンテンツの出し分けを支援するMarketo ContentAIや、Google Cloudのデータ分析ツールや機械学習を利用して、類似オーディエンスを見つけ出し適切なアプローチを可能とするMarketo AudienceAIが紹介された。
管理画面の操作性の大幅向上、アナリティクス機能の強化、マーケティングとセールスの連携促進などの他の注力ポイントにも触れつつ、ルーカス氏は「今年はこれまでで最も革新的な一年になるだろう。イノベーションを進めていく」と決意を示した。この後には、BtoB領域におけるアトリビューションおよびプランニングを手がけるBizibleの買収も発表され会場を湧かせた。
日本人の活躍も光る
今回のイベントでは日本人の活躍も目立った。同社のユーザー、パートナーでマルケトを効果的に活用もしくは社内で推進をした人物を表彰するRevvie Awardsには、富士通、富士フイルム、日本エスリードの3社がノミネートされた。その中でMarketing Executive of the Year部門を富士通の狩野泰博氏が受賞した。
後日行われたブレイクアウトセッションでは、日本人初の単独講演として富士フイルムの板橋祐一氏が『Digitize or Die, Innovating in Marketing for Surviving in Disruptive Times』というテーマでのセッションを行った。富士フイルムの変化の歴史を紐解きつつ、グローバルも含めた自社のデジタルマーケティングの推進状況を紹介。日本オフィスが司令塔となり「日本発」でグローバル展開を推進している例は少なく、聴講者も熱心に耳を傾けていた。本イベントは2日まで続く。