世代間の差はメディアではなくコンテンツに現れる
サービスの変化や多様化を体験してきている「モバイルネイティブ」以上の世代の方から、「最近の若年層はどんなメディアを利用しているのか?」という質問をよくいただきます。
私の見解としては、「基本的に利用しているメディアやサービス自体に、年齢による大きな差はない」と考えています。もちろん一部の層で人気になるサービスやアプリはあるものの、その規模は決して大きくありません。利用しているメディア・サービスという軸では、年代によって大きな差があるわけではないのです。
では、なぜそうした疑問が出るのでしょうか。それは見ているメディア・サービス自体は一緒でも、世代や個人によって接触しているコンテンツがまったく異なるからです。この傾向は「メディア・サービス時代」から「コンテンツ時代」に突入したことを示します。モバイルの誕生からスマートフォンの誕生にかけて、メディア・サービスの変化や多様化が落ち着きを見せ、近年では特定のSNSやYouTubeなどの利用が固定化しています。
それらのサービス内で人気のコンテンツが続々と生まれ、その個々のコンテンツそのものが媒体としての影響力を持つようになってきています。そうした現象の最たる例が近年のインフルエンサーブームに代表される「YouTuber」や「インスタグラマー」など個人から発信されるコンテンツであり、特に「YouTuber」の影響力は若年層においてマスメディアに匹敵するほどの効果を発揮することもあります。
YouTuber市場のポテンシャル
YouTuberにあまり馴染みのない読者の方もいると思いますが、その市場は急拡大しています。CAYoung Labとデジタルインファクトが行った共同調査では、2017年の国内YouTuber市場規模は、前年比2.2倍となる219億円、さらに2022年には579億円(2017年比2.6倍)に達すると推計されています(図表1)。
YouTuber市場は、(1)動画コンテンツをユーザーに無償で提供する対価として、動画の再生回数に応じてYouTube側から支払われる広告収入(YouTube広告収入)、(2)広告主とのタイアップ動画の制作によるタイアップ広告収入(タイアップ広告収入)、(3)自身が関わるリアルイベントの開催や関連グッズ等からの収入(イベント・グッズ等収入)、と大きく3つのセグメントに分類されます。
この拡大要因の背景には、コンテンツの元となる配信主の母数自体が近年大幅に増加傾向にある点が挙げられます。2017年12月時点で1万人以上の登録者数を持つYouTubeチャンネルは前年比150%成長の4,000件以上。100万人以上の登録者数を持つチャンネルも前年比約200%成長の63件と増加傾向にあり、この傾向はしばらく続くものと考えられます。
