要素を細かく分解、そしてトライ&エラーの繰り返し
「誤解を恐れずにいうと、レスポンス型のインターネット広告に『派手な企画力』はいりません。必要なのは、『運用する能力』です」と加藤氏は強調する。「レスポンス効率を上げるためには、『クリエイティブ』と『メディア』という二つの軸にわけて『最適化』する必要があります。ものすごい単純な話なのですが、今までの広告の発想とは違うので、なかなか理解してもらうのが難しいんです(笑)」
具体的には、広告展開をする度に「同時にテスト」としても位置づけ、効果測定システムにてデータを把握して、下記の図の要領でクリエイティブプランとメディアプランを運用・最適化し、自社にとっての「最強のクリエイティブ」と「最強のメディア」を見極めていく。これを実行するために派手な企画力は必要なく、ひたすらトライ&エラーを繰り返していけばいい。
スプリットランテストにより強い要素を効果測定システムにて把握し、
単純に組み合わせていくことで、最適なクリエイティブプランに

各媒体メニューCPA(採算性)を効果測定システムにて把握し、
良いものを残し、悪いものを弾くことで、最適なメディアプランに!

【注】クリエイティブ最適化とメディア最適化のコンセプトは、プレゼンテーション資料をみると、より理解が深まります。資料のダウンロードはこちらから
「クリエイエティブに関しては、芸術的な発想は特に必要なく、単純に『強い要素』の組み合わせとなります。この発想がなかなか理解されず、社内のクリエイティブディレクターに『おまえのやっていることはクリエイティブではない。パズルだ!』と怒られたこともあります(笑)。しかし、私は上記の『クリテイティブ最適化』、『メディア最適化』により、ここ数年で手がけた全てのクライアントのCPAを最低でも半分以下、つまり獲得効率を最低でも2倍以上にしてきた。キャンペーンを行う度に『確実に』レスポンス率を上げてきたのです」
広告代理店マンより、証券マンの感覚に近い
「よく、例え話をするのですが、やっていることはサッカー日本代表の監督と一緒なんです。それぞれのポジションに最適な人材を組み合わせる。それと一緒です。広告の勝率(=レスポンス率)を絶対に『水物』にしないために、キャンペーンを行うたびにフルモデルチェンジは行わず、常に『クリエイティブ最適化』と『メディア最適化』というマイナーチェンジをしていくだけです。この繰り返しをするだけで、『確実に』レスポンス率が上がります。嘘だと思うなら、一度試してみてください」
効果の高い組み合わせだけを残していく最適化の手法。広告業というと、「派手」で「クリエイティブ」なイメージに思えるが、「売れる、インターネット広告」をプランニングする際は、いままでと違う観点が必要なようだ。
「結論を言うと、『売れるインターネット広告』は今までの広告ビジネスでは無いんです。今までのように、広告代理店に『競合コンペをやります!』と伝え、A社、B社、C社を競わせる、といったノリではなく、クライアントは、適性のある広告代理店マンに『データの蓄積』をさせ、『運用を任せる』ことが必要。広告代理店マンはクライアントへ媒体を売り込むセールスマンになるのではなく、ファンドマネージャーのような存在になること。『投資をどう運用していったらクライアントのROIを最大化できるか』を徹底的に追及するという、証券マンに近い感覚が絶対に必要だと個人的には思っています」
市場の伸びから見ても、インターネット広告の活用はこれからますます進んでいくだろう。もちろん、手がける案件にもよるが、広告代理店マンから証券マンへの「変身」は、これからの広告代理店マンにとって意識すべき点かもしれない。