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Overture出身の先駆者たちの選択と次の一手

【フロム×香川対談】子どもを持ちながら第一線でいられる?進化の速い業界で働き続けられた理由


シビアな選択を迫られるとき、迷いはないのか?

――じゃあ、最初におっしゃっていた不安もなく、復帰された?

香川:不安はだいぶ減りましたけど、いざ仕事と子育ての両輪という生活に突入すると、もちろん戸惑いや大変さはありました。復帰と同時にたまたまチームを変わったら、男性ばかりのチームになって。当時はまだ共働きの家庭も今ほど多くなかったので、ああ、皆は日中に戦って帰宅したら食事ができていて、しっかり休めばいいけど、私は夕方から第二の戦いが待っている…! と思うと愕然としましたよ。

――それ、すごくよくわかります……。

香川:ですよね(笑)。そんな私に、グレースはすぐ「2人目もいきなさい!」というので面食らいましたけど、グレースのたくさんの言葉が支えになって、数年後に2人目を持てました。

 グレースがいなかったら、今の自分はないと思いますね。彼女自身が子育てに奮闘する姿を間近で見られたことも、とっても励みになりました。

フロム:タクシーに乗っていたら娘から電話がかかってきて、「ママ日本史の平安時代の◯◯って誰?」っていうから、隣りにいた晴代に聞いたりしてね(笑)。もちろん、そんな話ばかりじゃなくて、シビアなシチュエーションも多かったですよ。

 オーバーチュアの前職のときですが、1年がかりのプロジェクトを役員にプレゼンテーションするまさに5分前、娘が転んで大きなケガをしたとシッターさんから連絡があって、病院に駆け込んだこともありました。

――迷いは、なかったんでしょうか?

フロム:そこはもう、比較するものではないから。プレゼンテーションができず、プロジェクトがうまく運ばなくなってしまったのは当時はすごく残念でしたが、子どもがいるとそういう選択を迫られることはあるんです。だからこそ、仕事の代わりはいても家族にとっての代わりはいないと思って、常に“ファミリーファースト”だと心に留めていましたし、晴代や皆にも言っていましたね。

新しい業界だからこそ、経験者は貴重な存在

――その“ファミリーファースト”の姿勢は、香川さんにも受け継がれているんですね。

香川:本当、そうですね。当時のオーバーチュアは、間違いなく誰が抜けても困る時代でしたが、ファミリーにとってあなたは代わりが利かないんだよ、という言葉は芯が強くて、圧倒されますよね。私も仕事と子育てのバランスが取れなくて、子どもたちとの間で難しいシーンもありましたが、その度にこの言葉の意味を実感していきました。

 今、私が携わっているのは10人ほどの小さい組織で、大半が育児中なので、最初から皆がやりやすい環境になるようにしましたし、そういう働き方をつくりたくて日本支社の立ち上げに参画した経緯もあります。先進的な業界なんだから、働き方の面でも他の業界をリードしていけたらいいですよね。

フロム:デジタルマーケティングの業界は歴史が浅く、まだまだ発展中だから、経験を積んだ人材はとても貴重です。少なくとも私は、子育て中でも何でも優秀な人には来てほしい。保育園の問題など、カムバックするのにハードルがあるなら、それを壊すことは難しいかもしれないけどできる限りのことをして戻ってきてもらっています。

――子どもがいると、新しいチャレンジをしたり、より大きな責任を引き受けたりするのを躊躇してしまうところもあると思うんですが……。

フロム:でも、子育て中だとわかって「やってほしい」と会社がオファーしているわけですよね? それなら迷うことなんてない、take a risk, let’s go! 考えても始まらないから、何事かは起きたときに走りながら考えたらいいと思います。

香川:せっかく期待されているなら、やらずに悔いが残るより、失敗するかもしれなくてもチャレンジしたほうがいいですよね。一方で、スピードを緩めることを恐れなくても大丈夫。だって私たち、70歳まで働くかもしれないし、100歳まで生きるかもしれないんですから。キャリアパスのいちばん乗っているときが子育てと重なるジレンマはよくわかりますが、長い人生の中で子育てに軸足を置く時期があったってもちろんいいんです。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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2018/07/19 11:01 https://markezine.jp/article/detail/28774

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