中国で理解されるアプリを作るには?
続いて、井料・劉の両氏は、中国でのモバイルゲーム市場の現状と将来性を踏まえ、「ローカライズ」「パブリッシング」「マーケティング」の3つの視点から中国市場進出のポイントについて解説した。
まず、どんな商品やサービスを海外進出させる場合でも必要な「ローカライズ」。中国の場合はまず、提供するプラットフォームに注意する必要があるという。
「ネイティブアプリの場合、日本ではiOS向けにApp Store、Android用のGoogle Playがありますが、中国にはGoogle Playがありません。Android用のアプリはBaiduやTencent、Xiaomiといった重要なAndroidストアが70以上も存在しています。また各ストアによってユーザーの状況が違うため、アプリのスタイルに合わせて、適切なAndroidストアを選択する必要があります。たとえば日本風な二次元アプリの場合は、Bilibili&Taptapなど二次元を好むユーザーが多いストアへ優先的にリリースするほうがいいと思います。
ちなみに、中国ではiOS向けアプリが約14%、Android向けアプリが約86%というシェアになっています。これはあとで紹介する『パブリッシング』『マーケティング』とも関連してきますが、こうしたアプリストアごとに人気のジャンルや効果的なプロモーション方法を考慮するのがとても重要です」(劉氏)
一方、ゲームのローカライズにあたっては現地で用いられる中国語への対応とともに政治や暴力、アダルトなどの表現の規制が厳しいことも考慮しておくべきだという。
「ユーザーに限らず、中国の人たちは特に『言葉』に敏感で厳しい面がありますので、ゲームで表示される言葉は確実にネイティブレベルにローカライズしておく必要があります」(井料氏)
他にも中国では、ゲーム内容を国家新聞出版広電総局という機関が審査してコードまたはパブリケーションナンバーを交付して承認する必要がある(Androidのみ)など、独自の文化が存在する。
そのため両氏は、日本企業に対し、まず国家新聞出版広電総局への審査がいらず、比較的参入しやすいiOS向けアプリをリリースすることを勧めた。その後、ユーザーからの反応やフィードバックを踏まえ、Android向けアプリのリリースを検討するのが確実だという。
リリースには現地パートナーとの協力が不可欠
続いて「パブリッシング」について、劉氏が語った。先ほども触れたが、現在中国には多数のAndroidアプリストアがあり、日本企業が独自に進出するのは正直困難といえる。
そこで重要なのは、中国現地のパートナーの協力を得ることだ。JoyPacはパートナーとして、日本の数多いデベロッパーと連携を強化し、日本で人気のあるカジュアルゲームの中国進出を支えてきた。
「我々は欧米と日本のデベロッパーを中心に、アプリの中国進出を支えてきました。中国も日本と同じアジアに属する国ですし、中国では日本のアニメやマンガが大ヒットしています。そのため、アメリカやヨーロッパなどで開発されたゲームよりも親近感をもってもらえる可能性があると思います」(劉氏)
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