こだわるべきなのはコンタクトの質
――購買トリガーの有無やニーズの成熟はどうやって確認すればいいのでしょうか。
やり方は様々ですね。営業が直接確認することもありますし、インサイドセールスが電話で情報入手することもあるでしょう。セミナーに来てもらったときに対話して状況をつかむこともできます。

よくある間違いが、セミナーに来たら興味度が高いと判断し、案件化すると判断することです。トリガーがいつできるかは、セミナーの時点ではわかりません。でも、セミナーが情報入手の貴重な機会であることは確かです。
強調したいのは、「有望そうに見える、実はニーズが低い企業」という「ひっかけ」に惑わされないためには、行動履歴から推測するだけではいけないということです。営業でもインサイドセールスでも、電話でも対面でも、能動的に情報を教えてもらうことが必要です。とはいえ、新しい情報を教えてもらう分、ハードルが高いので、インサイドセールスが担うほうがよいことが多いでしょう。
――マーケターは、デジタルで顧客を理解する際、行動を根拠にします。「行動データだけでは顧客の有望度合いを見誤る」という考え方を受け入れるには、発想の転換が求められそうです。
MAのリードスコアリングの基本は「属性」と「行動」です。ABMはこれを否定するわけではありません。行動するのには理由がありますし、属性と合わせて評価するには良い指標です。でも、暇だったからセミナーに出席した人を、ホットリードとして営業に渡すわけにはいきません。
必要なのは、ターゲットリストの継続的なメンテナンスです。反応はしているものの、ペルソナに合致しないリードであれば捨てて、合致しているけれども反応しない人を反応させる必要があります。そもそもABMをやる目的は売り上げを増やすためです。ターゲティングをやることでABMの効果が出てきますし、カバレッジを高めることで「不戦敗の繰り返し」から脱却することができます。
マーケターの方に考えていただきたいのは、コンタクトの量で満足しているところがないか、ということです。仮に1万件のコンタクトを持っていたとしましょう。その1万件のコンタクトを企業数に直すと、ターゲット企業の何社が含まれているでしょうか。さらにその中に、ターゲティングペルソナは何件含まれているでしょうか。突き詰めていくと、1万件のコンタクトの真価が見えてくるはずです。