メリットの大きい「不戦敗の見える化」
――そう聞くと、自社コンタクトにおけるターゲットアカウントに対する網羅率、ターゲットペルソナに対する網羅率を確かめたくなります。
網羅率は、マーケティングと営業が一緒に現状を認識し、現実的な役割分担を作る土壌を作ることにも役立ちます。網羅率を調べる際は、マーケティングが持っているコンタクトだけでなく、営業が持っているものも一つに集約する必要があります。最近では、名刺管理ツールが使えますし、会社の資産としてコンタクトを管理するという考え方が浸透してきたように思います。

調べてみると、複数の営業組織と既に取引があり、ターゲット1社に対して200件のコンタクトがあったということもあるかもしれません。それなのに、ターゲットペルソナに合致するコンタクトがゼロ、という可能性もあるでしょう。あまりお金をかけなくても不戦敗を見える化することはできます。
――各部署で名刺を大量に持っていながら、活かしきれていない企業は多いと思います。
「そういえば話したことがない会社がある」がわかるのが、社内のコンタクトを一元化して見える化するメリットです。コンタクトが重複している場合もありますから、クレンジングを自社だけで行うのは大変だと思いますが、適切ではないコンタクトを捨てて、必要なコンタクトを集めましょう。
――MAはABMによるコンタクト獲得にどのように役立ちますか。
MAベンダーが提供するABMモジュールを使うことはできますが、MAツールはどんなコンタクトが足りないかをマーケターに教えてくれるわけではありません。必要なコンタクトを増やしてくれるわけでもありません。
MAがABMに役立つのは、ターゲットアカウントに合致する正しいコンタクトを持っているときに、そのコンタクトがどう行動しているかを追跡してくれるからです。逆に、適切なコンタクトを持っていなければ、意味のないスコアリングになりますし、すぐに限界が見えてくるでしょう。ターゲティングリストとターゲティングペルソナについての正しいデータを持っていてこそのMAであり、インサイドセールスなのです。
連載「MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと」記事一覧ページはこちら