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花王がマス広告ではなくYouTubeを選んだ理由/支持される動画クリエイティブの条件とは?

2018/08/09 08:00

 2018年7月5日、Google Japan主催の「Brandcast」が開催された。日本で3回目の開催となった本イベントには、広告主企業や国内クリエイターらが参加。加速度的に成長するYouTubeの今後の可能性について、キーパーソンたちが語った。

花王 鈴木愛子氏が語る「スモールマス戦略におけるYouTube活用」

 「Brandcast」は、広告主およびメディア企業を対象としたイベント。全世界のMAUが昨年比で約26%増加するなど著しい成長を遂げているYouTubeをテーマに、ユーザーの利用実態やクリエイターとファンの間におけるエンゲージメント、企業の活用例が語られた。

 YouTubeに出稿している広告主企業の代表として登壇したのは、花王 デジタルマーケティング部 部長の鈴木愛子氏。スモールマス※戦略を行うプラットフォームとして、YouTubeを活用する可能性について語った。

※スモールマス:マスに比べ規模は小さいが、一定の規模を持つ市場のこと。詳しくは参考記事を参照。
花王 鈴木愛子氏

 「スモールマスを形成するお客様は、同じような価値観・意識・関心などを様々なプラットフォームの中で盛んに情報の受発信をしています。我々としましては、このような状況にどう向き合っていくのかが課題だと考えています。特に、ターゲット設定の段階でお客様のインサイトをしっかり捉えることが重要です」

 こう切り出した鈴木氏は、花王が取り組んだ「ビオレ おうちdeエステ」のマーケティング施策ついて語った。

「ビオレ おうちdeエステ」のCMイメージ

 「ビオレ おうちdeエステ」は、肌をなめらかにするマッサージ洗顔ジェル。自撮り文化の普及などから、女性の「毛穴汚れ」に対するインサイトを発見した鈴木氏は、毛穴汚れへの興味・関心が高い「高関与層」をターゲットに設定した。

 「新発売でしたので、マーケティングの目的は、商品認知の向上・理解促進・購入意向の喚起でした。また、毛穴汚れの高関与層に向けて、いかに刺さるメッセージを開発し、効率よく届けられるかが、施策を行う上での課題でした」

 そう語った鈴木氏は、高関与層が広告を「自分ごと化」できるような動画クリエイティブを設計。「自分が他人の毛穴を気にするように、自分の毛穴も他人から見られているかもしれない」という顧客のインサイトを捉え、主人公である女性への共感を促進するような内容にした。

 加えて、インストリーム広告(動画コンテンツ内に組み込まれる、スキップ可能な動画広告)やディスカバリー広告(検索結果や関連動画の横に表示される広告)などでメッセージを届けることができなかったターゲットに対しては、「Video Ad Sequencing」※機能を活用し、顧客のインサイトごとに異なった8種類のバンパー広告※を配信した。

※「Video Ad Sequencing」は、複数の広告のクリエイティブをつなぎ合わせ、連続した広告を配信できる機能。ターゲットの反応を分析し、効果の高かった広告を抽出することも可能だ(参考リンク)。
※バンパー広告:バンパー広告は、Googleが提供する動画広告フォーマットのひとつで、再生時間が6秒以内という特徴がある。視聴への影響を最小限に抑えながら、簡潔で印象的なメッセージを発信することができる(参考リンク)。

 今回花王は、同商品を訴求するにあたり、「テレビ広告を打たない」という決断をした。鈴木氏によれば、この決断によって得たものは大きかったという。

 「実は、新製品の発売時にテレビ広告を打たないという判断をするのは、流通様との関係性を鑑みると大きな判断でした。もちろん流通様との関係性も弊社にとって大変重要ですが、今回はターゲットの特性と商品の強みを考えた時に、結果論にはなりますけども、良い判断だったのではと捉えております。毛穴汚れの高関与を捉えたターゲティング戦略によって、様々な成果が得られました」

 鈴木氏は、今回の施策の成果として、ブランドリフトの上昇を挙げた。対発売期比でシェア率が322%以上上昇しただけでなく、SNSやレビューサイト、コスメサイトなどで「YouTubeの広告を見て購入した」といったコメントが散見されるようになったという。

 最後に鈴木氏は、

 「ユーザーの意識や関心に寄り添ったアプローチやコンテンツ開発がますます重要になる中で、それを実現する手段として、デジタルの活用を考えるべきだと思っております。今回、YouTubeと取り組みをさせていただいたことで、YouTubeがリーチメディアという側面を持つだけではなく、スモールマスの顧客とのつながりも構築できるメディアだという認識を持つことができました」という言葉で締めくくり、ステージを後にした。

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