ラボ設立の理由は「ビッグデータの持ち手が足りない」から
――はじめに、「LOHACO EC マーケティングラボ」における成松様の役割を教えてください。
成松:私は現在、LOHACOのビジネスマネジメント&アナリティクスの組織を率いており、LOHACOの事業企画とデータ周りを管轄しています。「LOHACO ECマーケティング ラボ(以下、ラボ)」は、LOHACOのビッグデータを開放し、参画企業とともに新たなECマーケティングの確立を目指す取り組みです。2014年2月のラボ立ち上げからこれまでずっと携わっており、勉強会や分科会など様々な取り組みのオペレーション業務も行っています。
――では、ラボを立ち上げた理由を詳しくお聞かせください。
成松:ECにはお客様が増えるにつれ、顧客データ、購買データ、アクセスログ、お問い合わせデータ、レビューデータ、配送データなど様々なデータが蓄積されていきます。そうしてLOHACOに蓄積されるデータがビッグデータと化していく中で、「これらのデータの持ち手が足りない」と考えたのが、ラボ設立の理由です。
そこで、メーカーを中心に社外の企業も自由にデータを活用できるようにし、LOHACOが扱う日用品のEC市場を大きくするべく、ラボを立ち上げました。12社からスタートした取り組みは現在5期目を迎え、130社が参画するまでに拡大しています(2018年8月時点)。
1期目は、グローバル市場でのEC化率の目標を明確に持っていた外資系メーカーが中心でしたが、国内のメーカー企業も後を追うように増えてきました。
――ラボの参画企業には、競合企業同士もいるということでしょうか?
成松:ええ、ラボが大切にしている精神は「自由・オープン・共創」です。メーカー企業がこれだけ集まれば、当然競合する企業が含まれます。ですので最初に、「我々もデータをオープンにするので、お互いに隠しごとはなしでいきましょう」と呼びかけました。成功も失敗も参画企業同士が共有することに、皆さん合意してくださっています。
オープンなデータプラットフォームから生まれるつながり
――各企業からラボに参加しているのは、どのような方たちですか?
成松:色々な方がいらっしゃいます。営業やマーケティング・ブランド担当者、データサイエンティストなどが、主にデータ分析を目的にラボに来ています。営業担当者が見たいデータと、R&Dが見たいデータは違うので、使いたいデータを使いたい人が見ています。分析でわからないことがあれば、サポートするチームもアスクル社内に控えていますよ。
データ分析に関して、最初は購買データの分析から入る企業が多いです。化粧品と洗剤、ティッシュペーパーと絆創膏など、購買時の組み合わせがわかれば、メーカー同士の共同企画の材料にすることもできます。
――各々でのデータ分析のほか、普段の取り組みにはどのようなものがありますか?
成松:定期的に勉強会を開催しています。データ活用、広告配信などのテーマを分科会のように設定し、それぞれ月1回くらいのスパンで勉強会を開催しています。興味に即して参加できる形式です。
ナレッジレベルの底上げという意味では、事例共有会もあり、参加者あるいは参画企業同士の横のつながりができる場にもなっています。当初は我々が仲介役をしていましたが、最近では数社共同で自発的に施策を展開したりもしています。このような活動の中で、弊社側でやるべき事に気づいたり、参画企業からの要望に対応したりすることもありますよ。