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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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LOHACOと130の参画企業による「オープンなビッグデータ活用」で日用品EC市場はどう変わるのか

ECの強みを利用!データ起点に自動化されたサンプリング施策

――次に、ラボで展開した具体的なマーケティング施策について教えて下さい。

成松:第4期から「インシッププログラム」という施策を行っています。

 2017年4月にLOHACO専用の物流センターとして、ASUKUL Value Center日高を新しく設立しました。BtoCのみを扱う物流センターであれば、マーケティングを配送プロセスに組み込むことができますこれを利用し開発したのが、商品と一緒にサンプルやチラシを同封する「インシッププログラム」です。

 オフラインでは、店頭でお客様にサンプルを提供する施策が以前からありますよね。ですが、サンプルを配布した後の購買行動を把握することはできません。ECでならこれを解決することができるのではないかと考えたのが、このプログラムを始めたきっかけです。

 当初は、該当商品を買う可能性があるお客様をターゲティングしてサンプルをEC内で提供し、お客様自身でそのサンプルをカートに入れていただく方法を採用していました。サンプルを受け取ったお客様は商品を使い、レビューを書き、気に入ったら購入してくださいます。仕組みとしては良かったのですが、途中からサンプル目当てのお客様が増えてきまして、次の購入に至らないケースが増えてきました。

 そこで、「本当にCVに近いお客様には、最初からサンプルを提供しよう」と考え、このサンプル施策に改善を施しました。

――改善後はどのようなロジックでサンプルを配布しているのですか?

成松:お客様が商品を注文すると、そのデータは物流センターに届きます。通常は商品をピッキングしそのまま出荷するのですが、Adobeのソリューションを用いてその間のプロセスに、特定のセグメントに該当する人にはサンプルを自動的に入れる仕組みを作りました

 購入データや属性データなどを基に、CVに近いと判断されたサンプルが選ばれます。その際、お客様に商品の誤配送と思われないよう、試供品であることを伝えるチラシを入れるようにしています。また、納品書にパーソナライズした広告を入れるなどの取り組みも行っていますよ

顧客ニーズを捉え、支持を集める「暮らしになじむデザイン」

――また、LOHACOといえば「暮らしになじむデザイン」が支持されていますよね。

成松:「暮らしになじむデザイン」は、ラボの2期目から活動を開始し、3期目で形になりました。ラボが設立された当初は、売り方の仮説を試すプロモーション領域がデータ活用の中心になっていましたですが、ビッグデータの分析から顧客ニーズまで見えてくると、メーカーとしての本領域である商品開発の方向にシフトしていきます

 LOHACOで目を付けたのは、商品のパッケージでした。メーカーは、店舗の棚で自社の商品を選んでもらうため、パッケージングではいかに目立つかを重要視しています。けれども消費シーンでは、目立つパッケージは必要ありませんよね。

 たとえば、トイレの消臭剤は臭いを消す力があることをラベルで訴えますが、飲食店などではお店の雰囲気を損なわないように、ラベルをはがしたり裏返しにしたりして置いてあります。ここに顧客インサイトを見出し、商品の機能はそのままで、置きっぱなしにしても映えるデザインの商品を開発したところ、多くのお客様から支持されました。

――「暮らしになじむデザイン」には様々な商品がありますが、特に売り上げが増加した例はありますか?

成松:布用の消臭スプレーは、大ヒット商品となりました。消臭スプレーは、ラベルに商品機能の主張がありすぎると生活感が出てしまうため、ボトルをどこかに収納したくなります。また、ボトルを収納すると、商品を使うこと自体を忘れてしまうので、メーカー側でも課題と捉えていました。そこで、ボトルのデザインを出しっぱなしにできるものに変えた結果、売り上げが大きく増加しました。

暮らしになじむデザインが特徴的な消臭スプレー
LOHACO限定デザインの布用消臭・芳香スプレー(写真は、花王のリセッシュ除菌EX)
酒類もパッケージをデザイン
酒類のほか飲料・食品などの様々な商品がある(写真は、淡麗KIRINのグリーンラベル)

 その後も、デザインを意識した商品は、水・お掃除シート・ティッシュペーパー・乾電池などに広がり、現在は80種類の商品を揃えています。2017年10月には、実際に商品に触れることができる「暮らしになじむLOHACO展2017」を開催し、好評を博しました。

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参画企業と共に、消費者が望む形へモノの流通を変えたい

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2018/08/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29011

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