単に「市場」と捉えない姿勢が肝要
SUUMOではLGBT向けの施策として、賃貸物件検索では「LGBTフレンドリー」という特長項目を2017年に追加し、新築マンション探しの相談を行うSUUMOカウンターでは「LGBT向け新築マンション購入個別相談」を2017年1月から開設しました。それらの施策を知ってもらう目的で、2017年、2018年と「東京レインボープライドパレード&フェスタ」にブースを出展。また特設サイト「SUUMO for LGBT」を昨年5月にオープンし、LGBT当事者調査をまとめた動画、当事者インタビュー、サービス紹介を掲載しています。不動産ポータルサイトでのこうした取り組みはSUUMOが初だったこともあり、多くの反響がありました。
こうした施策の目的は「話題性」「市場規模」に着目しているのではないか聞かれることがあります。しかしSUUMOで施策検討が広がったのは、「住まいを中心とした暮らしの進化を追求し、幸せな個人や家族をもっと増やす。」というミッションに合致していたからです。もともと社内の起案制度がきっかけでLGBT認知理解のための研修が行われ、LGBTが持つ不安や不便さといった「不」について組織全体で認識が広がり、そのことに課題感を持ったメンバーが主体となり施策検討が進みました。
LGBTの認知が一般化した今、対象要件にLGBTを考慮することは大前提ですが、当事者の不や課題に立脚しない施策や情報提供はかえって反発を招きかねません。単に市場規模など数字で捉えず、あくまで当事者を知ろうとする姿勢が大切だと考えています。

株式会社リクルート住まいカンパニー
「SUUMOの注文住宅」編集長 兼 SUUMO副編集長 田辺 貴久氏
2007年リクルート中途入社。「住宅情報タウンズ(現・SUUMOマガジン)」編集を担当したのち、2011年、住まいのニュース・コラムサイト「SUUMOジャーナル」の立ち上げに携わり、編集デスクを務める。2015年「SUUMOマガジン」編集長、2017年「SUUMOの注文住宅」編集長、SUUMO副編集長兼任。自身もLGBT当事者として社内におけるLGBT施策について関わっている。
