近年のデジタル技術の発展やスマートフォン等の普及により、企業はこれまで以上に大量・詳細なデータをマーケティング活動のために収集・活用することが可能になってきた。従来の標本データによるマーケティングの意思決定に対してビッグデータは大きな衝撃を与え、さらにAIなどの進化によってデータ活用法も新たな局面を迎えている。一方、各所で報道されているように、企業における個人情報の取得・利用方法をめぐる問題や、情報漏洩などの事件もしばしば大規模なレベルで発生しており、生活者の関心は高そうだ。個人情報の活用と保護については、直近では日本における改正個人情報保護法の施行(2017年)や、EUにおけるGDPR(一般データ保護規則)の施行(2018年)のように、法制も変化している。 こうした中、企業における個人情報の活用と適切な取り扱いという視点を中心として、日本の生活者の「個人情報の提供」に対する意識を分析する。本稿では、2018年7月に全国20〜69歳の計1,000人に実施したWeb定量アンケート調査結果をもとに検討する。
※本記事は、2018年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』33号に掲載したものです。
個人情報、企業・国に責任を持った対応を望む人が多数
はじめに、個人情報全般に対する意識を確認する。図表1のように、多くの回答者は個人情報が「いつの間にかどこかに伝わっているのではないかと不安」「どこでどのように管理・使用されているかには関心を持っている」と回答し、自分の個人情報の提供先については把握・管理しておきたいという意識を持つ人が多い。
他方で「個人情報は、自分で管理すれば問題は起きない」については、4人に1人程度の肯定割合にとどまる反面、個人情報の保護や適切な取り扱いのため「企業がより積極的に行動・対策すべきだ」「国(政府)がより積極的に行動・対策すべきだ」の割合はいずれも高い。個人情報のコントロールは自力だけでは難しいと考え、企業・国に責任を持った対応を望む人が多い。
▼調査レポート
『個人情報に関する調査』(HoNote)