SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

データで読み解く

個人情報の提供に対する生活者の意識とは

個人情報の“種類別”に見る、生活者の提供意識

 続いて、企業から見た個人情報の活用という観点に立ち、それぞれのパターンについて「金銭的メリット(ポイントや謝礼品、キャッシュバック、割引など)」があれば提供してもよいと思う個人情報を尋ねた。代表例として「一般企業」の商品・サービスの「利用」の場合を採り上げ、個人情報の各項目について「金銭的メリット」提示前のスコアと、「金銭的メリット」があった場合の上昇幅を図示した(図表5)。ここから以下のような傾向性が読み取れる。

図表5 「一般企業の商品・サービス利用」に許容できる個人情報提供(「金銭的メリット」提示前後)ベース:全体(n=1,000)※図中1〜39の番号は、図表3の項目一覧の番号に対応する。
図表5 「一般企業の商品・サービス利用」に許容できる個人情報提供(「金銭的メリット」提示前後)
ベース:全体(n=1,000)※図中1〜39の番号は、図表3の項目一覧の番号に対応する。

自分自身の基礎情報や連絡先等

 元々の提供許容度も比較的高く、さらに金銭メリットがあると許容割合が最大10ポイント程度高まる。

自分の生活に関する情報

 提供許容度は比較的高いが、金銭メリットでの伸びは中程度。

自分に付与された番号等

 提供許容度は低く、金銭メリットでの上昇も5ポイント以下の項目が大半。

自分の行動に関する情報

 提供許容度は中〜高程度だが、金銭メリットによる上昇幅は小さめ。

自分の身体・生体に関する情報、その他

 元の許容度にはばらつきがあるが、金銭メリットでの上昇幅は総じて低め。

 このように、生活者の個人情報に対する感覚や取り扱いも、その種類によってパターンが見られる。日本でも、銀行業界などでいわゆる「情報銀行」事業領域への参入の動きが目立ち、注目が集まっている。

情報の“組み合わせ”で見る、生活者の抵抗感

 上記では個々の個人情報項目を見たが、生活者が提供について考えるもうひとつの視点として、“個人情報の組み合わせ”も重要だと考えられる。ここでは、「氏名」「Webページの閲覧履歴」「生体データに関する個人識別符号」の3つについて、一緒に提供されることに抵抗がある項目を選択してもらった(ただし、回答負荷を考慮し、図表6のように16項目に集約)。ここから、どのような組み合わせが特に忌避されやすいかを、TURFという分析手法によって確認する。TURFは、項目の組み合わせによって、回答者の何%をカバーできるかを算出する方法である(図表6)。

図表6 一緒に提供されることに抵抗がある個人情報組み合わせ(各項目数において最もカバー率が高い組み合わせを掲載)ベース:全体(n=1,000)
図表6 一緒に提供されることに抵抗がある個人情報組み合わせ(各項目数において最もカバー率が高い組み合わせを掲載)
ベース:全体(n=1,000)

 「生体データに関する個人識別符号」では、他の項目との組み合わせ自体を拒絶する回答が3割程度と高く、生活者の不安感が表れている。組み合わせ項目で見ると、いずれの場合でも、「クレジットカード番号」と組み合わせての提供になると、全体の8割程度が拒否反応を示す。さらに、「公的機関の個人識別符号」等が加わることで抵抗感が強まっていく様子がわかる。

 このように、個人情報の提供先や活用内容によって、提供許容項目の種類や組み合わせにはパターンによる違いが見られた。また、金銭的メリットによる情報提供の促進についても濃淡が見られた。

 最後に、企業にとっては、その場の金銭的メリット等だけではなく、トータルプロセスとしての適切な取り扱いも求められるだろう。個人情報取り扱いのルールとして、「適切な扱いの認証を受けた企業が取り扱う(35%)」「どこでどの目的で使われるのか、丁寧に事前説明がある(34%)」などとともに、「自分が会員を退会したら、個人情報もすべて削除される(40%)」がさらにスコアが高い(いずれも各条件が保証されるなら「通常より積極的に+通常よりある程度積極的に、提供してよい」のスコア)。これも、冒頭でも触れた「自分の個人情報の提供先については把握・管理しておきたい」という生活者の意識とも言えるだろう。

 企業が個人情報データをよりよく活用していくためには、このような生活者の意識を踏まえ、メリットを提示し、不安等を除いていく不断の取り組みが求められると考えられる。

■調査概要調査主体:マクロミル・翔泳社(共同調査)
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:全国20~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)
割付条件:男女500人ずつ、年代(10歳刻み)は国勢調査の人口構成比にあわせて割付を行って回収/1,000人
調査期間:2018年7月13日(金)~2018年7月14日(土)

・本文の数値は四捨五入した整数で表記。
・百分率表示は四捨五入のため丸め計算を行っており、合計が100%とならない場合がある。

▼調査レポート
『個人情報に関する調査』(HoNote)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
データで読み解く連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

マクロミル(マクロミル)

高品質・スピーディな市場調査を提供する、マーケティングリサーチのリーディングカンパニー。生活者のインサイト把握やデジタルマーケティング施策の広告効果測定など、マーケティング課題解決に向け最適なソリューションを提供。世界21カ国、50の拠点を展開し、唯一無二のグローバル・デジタル・リサーチ・カンパニーを目指す。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/09/25 15:00 https://markezine.jp/article/detail/29273

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング