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Web×マスの仕掛人

「デジタルこそマスだ。」TOYOTAの『#金曜日の新垣さん』を例にマス×Webを考える

 昨年大きな話題を呼び、プロモーションとしても大きな成果を収めた、トヨタの「#金曜日の新垣さん」。このプロモーションの仕掛人は、どのような意図でコンセプトを決め、メディアプランを設計していったのか。クリエイティブのポイントは? 企画の段階からプロモーションに携わった電通の3名に、「#金曜日の新垣さん」の成功要因、そして「Webブランディングの可能性」を聞きました。

トヨタ「テレビCMと同じくらいの力でデジタルもやりたい」

【この記事で紹介するプロモーション】

トヨタ自動車(以下、トヨタ)がNOAHのモデルチェンジに際し、マス×Webで展開したプロモーション。マスでは「これからのスタイル。」というコンセプトで、新垣結衣さんを起用したテレビCMを放送。Webでは、「#金曜日の新垣さん」をテーマに、スマートフォンの縦型動画を毎週金曜日に配信した。TBSテレビによる『逃げるが恥だが役に立つ』の放送終了で起きた“逃げ恥ロス”も影響し、Web動画は計2,000万回再生と話題を呼んだ。

――今日は、トヨタさんが「NOAH(ノア)」のモデルチェンジに際し実施したプロモーション施策について、お話を聞いていきます。はじめに、今回は企画の段階からマス×Webでの展開を考えられていたと聞いていますが、これはトヨタさんからの依頼だったのでしょうか?

嶋野:トヨタさんでもデジタルシフトへの意識があって。テレビCMはもちろんやりつつ、それと同じくらいの力でデジタルもやりたいというお話がありました。Webとマスのどちらかをメインにすると、片方がつまらなくなるし、テレビCMとWebで全くバラバラなことをしても意味がないんじゃないか、という考えがありましたね。

安達:あとは、数々のキャンペーンを手掛けている澤本ECDに、一番初めの段階から「デジタルも、圧倒的に当てること」と正しくプレッシャーをかけられまして……(笑)。マスとWeb、それぞれのプロが一緒に考えをまとめていくのは簡単ではないのですが、両方ともに精通している澤本ECDが先導していたことも成功要因として大きかったと思います

世の中にどう響くのかを考えて、新しいポジショニングを図った

――では、「これからのスタイル。」というコンセプトは、どのような意図で決められたのですか?

電通 CDC コミュニケーション・プランナー/CMプランナー 嶋野祐介氏
電通 CDC コミュニケーション・プランナー/CMプランナー 嶋野裕介氏

嶋野:今回のようなプロモーションでは、“NOAHがスタイリッシュになりました”とか“スタイリッシュという贅沢”とか、わかりやすいコピーを書いてしまうことが多いんですが、今回はそういうのはやめようと。「世の中にどう響くかを考えて、メジャーなキャンペーンを作りなさい」と、澤本ECDにコンセプトの切り口をもらっていました。

 「これからのスタイル。」は、マスとWebで共通の大きな概念です。この共通の概念の中で、表現を変えながらマスとWebを最適化していこうと考えました。

――ブランド起点ではなく、世の中視点でコンセプトを決められたんですね。

嶋野:ブランドと世の中の接着点を見つけていったという感じでしょうか。そもそもNOAHのマーケティング的な課題は、市場飽和と歴史の2つがありました。まず市場飽和について、ミニバンは各社メーカーが色々なブランドを出しているので、正直、デザインや技術での差別化が難しいんです。よって、違う要因で差別化をする必要がありました。

 もう1つ、NOAHはとても歴史のあるブランドで、“家族のための車”というイメージが強かった。ですが、最近では家族のカタチも変わってきているので、今の時代のファミリー像でNOAHを描きたいと考えていました。

 そういう意味で、ブランド起点の差別化だけでなく、世の中視点で新しいポジショニングを図る方向性になりました。そこで目を付けたのが「逃げ恥ロス」です。

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/11/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/29386

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