クリエイティブに求められることが変化している
『著作「欲しいほしいホシイ」の新情報をお聞きしたいです。』
これはね、広告表現というものと進化心理学、人の本能の関係について書いた本です。
行動経済学とかで人って不可解な経済活動をするよね、と。非合理的な経済活動をするよねってことで、何年か前にノーベル賞をとったりしていて。
人間ってたとえば、松竹梅があると「竹」を買ってしまうよね、とかね。そういう話があるわけですけど。
「じゃあ、なんで竹を選ぶのか」とか、そういうところまで追求したくなったわけですよ。調べていくと、進化論にまでいくわけですよ。で、人間の本能って100万年前のサバンナで培われたものが大きいと言われているんですけど、そこで培われた本能を引きずって、現代社会で生きている。
たとえば、CMで「このコピーを印象づけよう」となった時にどうするかというと、コピーをじわーっとズームさせるわけですよね。人間って絶対動いているものに目が行くんです。なぜかというと、動いているものはサバンナでは、天敵か獲物かどっちかなんですよ。動いているものに目が行かない種族もいたと思うんです、でもそいつらは天敵に食われて、今ここに子孫がいないというわけで。たまたま動いているモノに目が行くっていう種族の生き残りが我々だというのが、進化論の考えなわけです。
だから、それを利用して、テレビCMを作るときには、見せたいコピーをじわーっとズームさせる。そういうことを書いた本がコレです。
もともとの人の本能を書いた本なので、最新情報更新というのはなかなかないんですけど、ただターゲティングに関して言うと、今まではクリエイティブでやるところがあったんですよ。
たとえば、OLが使う商品でおっさんを使っていたら、OLさんに買ってもらえないわけですよね。OLさんに買ってもらうなら、OLさんを演じる女優さんにやってもらわないと、自分のものだと思ってくれない。
これも本能からきているんですよ。自分と同じカテゴリーに属する人間とかそういう人がやっていることは、とりあえず真似しとけという本能があるので、そういうものを利用しているわけです。
ただ、ターゲティングって、クリエイティブでやらなくてもいいようになってきているんです。だって、OLさんに売りたい商品はOLさんだけに見せることが可能になってきているわけで。クリエイティブで頑張ってOLさんに「これは、OLさん向けですよ」って伝えないといけないということが減ってきている。そういう意味で、クリエイティブに求められること自体が変容していってるかなと思います。ただ、まだ僕もそこはしっかり整理していませんが。
今で、ようやく半分。喉が……(笑)。
相談会はまだまだ続きます。続きは次の記事で。
1.「今後の理想の広告の在り方って?」
2.「マスとWebの最適配分問題に対する打開策」
3.「いずれ、テレビとWebの同時配信が始まる」
4.「クリエイティブって、そんな簡単じゃない」