物理学者からエンジニア兼データサイエンティストに
籠屋氏と同じく、東北大学で学んだ神保氏。大学院を出てPTPに今年入社した新戦力だ。生物をシステムとしてとらえる学問である生物物理の研究で博士号を取ったことで、ひとまず研究のゴールを迎えたと感じたという。
「研究にも区切りがついたので、一旦フラットに先のことを考えているときにこの会社に出会いました。『小さなベンチャーなのに、やっていることのスケールは大きい』と思いましたね。他のベンチャーもウォッチしてみましたが、ソフトウェアからハードウェアまで一貫して自社で構築し、どこにもないデータを集めているようなところは他には見当たりませんでした。企業とのリレーションも深い。元々データを分析してモデルを作ることが好きでしたし、その将来性の高さから、就職の道を選びました」(神保氏)
テレビを見ることがあまり多くなかった神保氏だが、SPIDERを使っているうちに、自社サービスだけでなくテレビ業界の課題も「自分ごと化」することができるようになったそうだ。テレビCMのデータがブラックボックス化しており、それは広告主だけでなく、視聴者も含む広告システムとして良くないと感じている。
神保氏は現在、エンジニア兼データサイエンティストとして活躍している。データの可視化はできても、その活用方法がわからないクライアントに対してのサポートも担当している。ただ測定した結果だけを伝えるのではなく、売上への影響が大きなエリアの抽出や次に取るべきアクションなど、一歩踏み込んだ提案がクライアントからも好評を博している。
「Madisonを使いながら、各社のCM出稿状況から広告主のCM戦略を調べています。手前味噌ですが、Madisonは非常に使いやすいUIになっていますので、自分たちで使っていても『次はあれを調べよう』とどんどんいろんなことを分析したくなります。効果測定には、様々な影響要因やたくさんの切り口があって壁にぶつかりやすいのですが、スムーズに業務を行えているのは洗練されたUI、そして蓄積された膨大なデータのおかげですね」(神保氏)
全国規模のテレビCMの出稿戦略を変えたケースも
リリースからおよそ半年のMadison。既にキリンビールや三菱電機などの大手企業をはじめとする11社に導入され、クライアントからも高評価を得ている。その要因を籠屋氏は以下のように分析する。
「神保も話した通り、今まで見たことがないデータ、そしてそれを可視化し、分析に理想的なインターフェースに仕上げられたことが大きいと思います。あるクライアントからは様々な分析ツールがある中で断トツにわかりやすく、使いやすいという声をいただき、素直にうれしく感じています」
「想定を超えたスピードで具体的な行動に結びつけていらっしゃる導入企業もあります」と、籠屋氏。Madisonから得られたデータを基に、クライアントの中には実際に全国規模のテレビCMの出稿戦略を変えたケースも少なくないという。
クライアントと直接やり取りを行っている神保氏は、「データの扱いや分析に慣れているお客様と話すと、『このデータには説得力があるので、思い描いていたあの施策がすぐに実行できそうだ』といった具体的なアイデアがポンポン出てくる場面もありました」と語る。