デジタル活用でコンテンツづくりも効率化
セッションの後半で小林氏は、デジタル基盤の構築と同様に重要となるのが「コンテンツ制作環境の見直し」だと述べた。ある調査では、70%以上のグローバルマーケターが「ここ2~3年で制作しなければならないアセットの数が10倍以上に膨張している」と感じていると回答。また、80%以上のマーケターが「アセットを制作し発信していく業務を、より高速に実行していかなければならないと感じている」と答えたそうだ。
小林氏は、こうした状況では、少ないリソースで多くの活用用途を生み出す「ワンソース・マルチユース」の考え方にもとづいた統合管理基盤がポイントになると述べた。
「チャネルを超えた一貫性のあるコンテンツを大量に作るためには、ワークフローで統制をとり、過去のアセットを簡単に取り出しやすくする必要があります。また、オンラインとオフラインそれぞれのチャネルに適したコンテンツに変換していくといった機能も、あわせて活用していかなければならない時代になってきました。
さらに、画像解析技術が進化してきている昨今では、画像の内容を認識し、タグを自動付与して管理効率を高めたり、クリエイティブ制作効率を高めたりするソリューションも登場し始めています。このようなテクノロジーが出てきていることを理解しつつ、コンテンツ生産能力をどこまで高めていくべきなのかを検討する必要があるのではないかと考えています」(小林氏)
「エモーショナル」な顧客体験を一貫して提供するために
小林氏曰く、DNPのもとにはデジタルマーケティングツール導入後の相談がよく舞い込んでくるそうだ。中でも多いのが、人の流動に関する問題だという。オペレーション担当者が育ってきても、ジョブローテーションや転職によってゼロベースからのスタートが繰り返され、ツールの活用自体をやめようと考えてしまう企業が少なくない。
こうした課題に対して、DNPではMA運用支援サービスを提供することで解決を図っている。同サービスでは、オペレーション業務をアウトソースできる体制が用意されているだけでなくMA運用のための環境構築も担い、MAによるパーソナライゼーションの実行を支援している。
最後に小林氏は、「DNPはあくまでも中立の立場に立ち、企業様の課題に応じた最適なソリューションの選定から導入支援、運用支援までを一気通貫で行っています。冒頭に申し上げたように、カスタマージャーニーを定量的に評価し、改善すべきポイントを絞りながら、一歩ずつ顧客体験価値を高めるサポートをしていける点が最大のポイントです。
DNPがマーケティングコンセプトとして掲げているのは、『Emotional Experience!』。リアルとデジタルをしっかりつなぐことでオムニチャネルコミュニケーションを推進していき、最終的には顧客の感動体験を創出することをミッションに掲げ、今後も活動します」と語り、セッションを締めくくった。