収集したデータをどう施策実行までつなげるか
2.「Processing(データ連携・加工)」
では、様々なソリューションを通じて収集したデータは、どのように管理・統合していくべきなのだろうか。小林氏はまず、きめ細やかなコミュニケーションを実現していく上では、「リアルタイムなデータ連携」が重要であると指摘。具体的なソリューションとして、データマネジメントツール「Tealium(ティーリアム)」を挙げた。
たとえば、旅行サイトにおいて「大人2名、子供1名」という検索条件が入力されたとする。「Tealium」は、検索実行ボタンを押した瞬間に、「子供1名」という検索条件を含んでいることから「家族旅行」を計画中であると判定。「家族旅行検討中」という属性を、個客プロファイルとしてリアルタイムに付与することができる。
また、同ツールでは、「特定の属性が付与された瞬間」をトリガーとしたアクションを設定することも可能だ。たとえば、上記のような顧客向けには、この瞬間から広告バナーやWebクリエイティブを「家族旅行」向けのコンテンツに最適化することはもちろん、オフラインではパーソナライズド印刷(DM)の配送手配を指示することもできる。このように同ツールは、顧客の行動と企業のコミュニケーションをつなぐハブの機能を果たしていく。
続いて小林氏は、「Processing」における「データ加工」のソリューションを紹介した。データの多様化・肥大化にともない、データ分析業務の中でも「データ加工」に関する課題を挙げるクライアントが増加していると小林氏は指摘。収集したデータを活用できる状態にするまでに時間がかかってしまっているそうだ。
「Paxata(パクサタ)」は、データの整理・加工が手軽に行えるツールだ。セグメントの切り貼りが直観的に行える他、データを混ぜ合わせたいときの結合キーの候補がパーセンテージで自動的に表示されたり、表記ゆれを修正したりできる機能も備わっている。
3.「Output(施策実行)」
デジタル基盤を構築するための最後のフェーズ「Output」では、小林氏は「パーソナライズドDM」、また「ビーコン」を活用したプッシュ通知が可能なアプリチャネルにそれぞれ言及した。
3-1.パーソナライズドDM
オフライン領域での施策として、小林氏はDNPのパーソナライズドプリントサービス活用の可能性を挙げた。同サービスでは、ECサイトやマーケティングオートメーション(以下、MA)ツールなどと連携し、得られた顧客の属性データに合わせて最適化された印刷データを自動生成。印刷・発送・効果計測までをシームレスに行う。
3-2.ビーコンを活用したプッシュ型コミュニケーション
続いて小林氏は、アプリというチャネルでのコミュニケーションが進みつつある中、ビーコンを活用したソリューションの検討も加速してきていると述べた。
最近では、自社が設置したビーコンのみならず、他社のビーコンとも相互に連携し「他社のチャネルで反応した」顧客に対して、「自社からのコミュニケーション」を仕掛けられるネットワーク型のビーコンソリューションを提供しているベンダーも登場しているという。