高価格×検討期間が長いブランドに必要なのは?
ゾーンC(ソーシャルアクティブ:低×ブランドスイッチ:少)
価格が高く検討期間が長いこのゾーン。ニーズが顕在化するタイミングが特定しづらく、特に嗜好性が高いブランドでもないとなかなか話題が生まれません。
しかし、検討期間が長いということは、1回の接触で多くの話題を作り出し、すぐに行動してもらう必要がないとも言えます。そのため重要になるのは、話題のバリエーションを増やし、何度も継続的に接点を持ち続けることです。それが後々、ニーズが顕在化し比較検討し始めるタイミングで、効果を発揮するはずです。
継続的に接点を作り出す手法としては、SNSアカウントの運営、コンテンツマーケティングなどがありますが、重要なのはどういった話題を発信するかです。
まだニーズが顕在化していない生活者に、ブランド主体の話題を発信しても受け入れてもらえません。そうならないよう求められるのは、生活者がどういったことを話題とし、どのようなテーマに興味や関心があるのか、どういったトライブ(人の集まり)に属する人なのかなどをソーシャルリスニングなどによって抽出することです。さらに、抽出した項目とブランドとして伝えたい話題と掛け合わせることが重要です。これにより、生活者から話題にしてもらえる可能性を高めることができます。
ブランドコミュニティ形成でLTVを最大化
ゾーンD(ソーシャルアクティブ:高×ブランドスイッチ:少)
このゾーンはブランドを語ってくれるファンが多く存在し、かつブランドスイッチも起こりづらい状態なので、ブランドからすると既に理想的な状態です。
こうしたブランドの場合、SNS上での話題化からの購買を目指すだけではなく、次なるステップとして、熱量の高いブランドファンによるブランドコミュニティ形成で顧客のLTVを最大化する状態を目指した活動を行うべきです。
この場合重要なのは、ブランドを語ってくれるファンを“ブランドのファン”と一括りにするのではなく、興味や関心、価値観、ライフスタイルなどによって細分化された生活者として捉えることです。
このゾーンのブランドは、ブランドについて語ってくれる熱量の高いファンがたくさんいることが特徴です。そのため、単なる商品紹介になりがちなインフルエンサー施策をするのではなく、ファンの中でも特に特定のトライブで影響力を持つオピニオンリーダーを発掘し、ファンの興味や関心、価値観に合わせたロイヤリティの高いブランド体験を提供することが重要です。
こうした施策によって、常に質の高いブランドストーリーがFファクターを介してSNS上で拡散し、熱量の高いファンを中心としたブランドコミュニティが育まれ続けていきます。
たとえばLEXUSでは、「BRAND STORIES EXPERIENCE」と称し、デザインやアートカルチャー、テクノロジー、食文化といったクルマだけにとどまらない様々なライフスタイルを通じたブランド体験をファンに提供し、ブランドコミュニティを形成しています。
消費者の本音や行動をSNSからも探ろう
今回は、ブランドを4つのタイプに分けて、SNS上での話題化から新規顧客獲得につなげるためのヒントを探りました。しかし、ここでご説明した内容はあくまで一つの考え方でしかありません。
生活者を取り巻く情報環境の変化や価値観の多様化が加速する中で、ブランドにとって有効性の高い手法も日々変化していきます。これからは、企業コミュニケーションにおいても、従来のアンケートやインタビュー調査などでは捉えきれない生活者の本音や行動をSNS上からリアルタイムに捉え、コミュニケーション施策設計に生かしていくことが重要です。