インフォグラフィックスで要点をコンパクトに伝える
1つの質問でも、伝えるべき情報は複数あります。たとえば「購入チャネル」は、(1)買った場所、(2)ボリューム(人数)の2点を同時に伝える必要があります。そこで(1)場所については「ピクトグラム」で表現、(2)ボリュームを「円の大きさ」で表現しています。
4つの「購入者類型」は、先ほど見た図表3では図表1・2との関連性や、類型のボリューム感が一瞬ではわかりにくいのですが、この図のようにかけ算のビジュアルで配置すると「購入チャネルと購入目的を組み合わせた結果が、この4類型になっているんだな」という流れがより把握しやすくなると思います。ここでは、情報入手経路接点の多い順に、上から①〜④と配置しました。

図中右の「情報入手経路」はさらに複雑です。
(1)媒体の種類、(2)情報接触の活発度、(3)各媒体に接触したボリューム、(4)類型ごとの特徴など様々なことを教えてくれるデータですが、それゆえに図表4から一瞬のうちに特徴を緻密に読み解くのはかなり大変です。
そこで、まず(1)「媒体の種類」をピクトグラムによって把握しやすくしています。そして、各類型内で一定割合以上の回答者が接触したピクトグラムをハイライトして、(2)「活発度」(いくつハイライトされているか)や、(3)「ボリューム」(各類型で最もスコアの高かった媒体を「HOT!」で示しています)がわかります。そして、(1)〜(3)を通じて、(4)「類型ごとの特徴」も見やすくなります。
たとえば①は、購入者に占めるボリュームは少なめです。しかし、購買に至るまでに多くの情報媒体に接しており、他の類型よりも情報収集活動自体が活発です。「TV・ラジオ」「新聞・雑誌」や「口コミ」なども高いことから話題性に敏感で、そこから掃除用ロボットの購入意欲も喚起されたのでは、といったイメージが推測しやすくなります。それでも、「もっと調べれば良かった」と思っている人も多く、購入後も興味は尽きないといったところでしょうか。
他方、③<店頭×掃除機能追求型>は最もマジョリティですが、そこまで情報収集活動はしていません。また、他の類型ではハイライトされている「小売店Web」が低く、逆に「店頭販売員」が唯一ハイライトされていますから、あくまでも「掃除機」を探しに店頭に行き、そこでロボット型に出会い、説明を聞いたりして興味喚起された、といった像が浮かんできます(あくまで単純化したイメージではありますが)。
ただし、インフォグラフィックスはビジュアルに訴え印象的であるがゆえに、用いるビジュアルによっては精確性(精緻・緻密な情報になっているか)に欠けたり、受け手の印象が操作されるような影響を与えてしまったりする危険もあり得ます。また、作り方によっては、逆に読み解きが複雑になってしまう可能性もあります。そのため、何を表現するか、しないかの基準を設けて情報を取捨選択したり、その目的から外れないビジュアルを選んだりすることが重要と言えるでしょう。