オープンなインターネット環境を目指して
国内セールス部門統括コマーシャルディレクターである小野良一氏からは、Criteoの2019年のビジョン・事業方針が説明された。Criteoでは、昨年4月に創業者のJB リュデル氏がCEOに就任している。その際、同社の新ビジョンとして掲げられたのが「Open Internet」だ。小野氏は、このビジョンについて、「Criteoが、オープンなインターネット環境に適した広告プラットフォームでありつづけること」を意味すると話す。
小野氏曰く、近年のインターネット事業の課題は「一部の巨大企業・プラットフォームが市場を独占していること」であり、早急な解決が求められている。
「様々なプレーヤーの存在が、市場の健全性・多様性を保つためには必要です。またユーザーにとっても、巨大プラットフォーマーのエコシステムに取り込まれるのではなく、複数の選択肢があることが望ましいはずです。我々は、Criteoが持つビッグデータ・AIを活用することで、市場の健全性を保っていきます」(小野氏)
膨大な「消費者行動データ」を強みに
では、「Open Internet」というビジョンを達成するためのCriteoの強みとは何か。小野氏は、Criteoの強みは同社が保有する膨大な「消費者行動データ」であると主張する。Criteoは、月間14億人を超えるアクティブユーザーが、「オンライン上でどのような商品に関心を持ち・何と何を比較して・何をカートに入れて・最終的に何を買ったのか」という、購買行動のすべてのプロセスにまたがった膨大なデータを保有している。現在、日本のオンラインユーザーの92%をカバーしている状況だという。
「我々は、この膨大なビッグデータをAIで分析しています。AIは、ディープラーニング技術により常に学習を進めています。これにより、深いユーザー理解・消費者理解を行い、インサイトを得ます。そして、このCriteoのテクノロジーが『この消費者はこれから何を買うのか』ということを予測し、マーケターの想像力を超えたカスタマージャーニーを描くのです」(小野氏)
Criteoは、昨年7月に「Criteo AIラボ」をパリに設立している。約25億円を投資して作られた同ラボでは、汎用性と透明性を確保したユーザー中心型の機械学習モデルの構築に向けた研究に取り組んでいる。
2019年は「コマースプラットフォーム」へと進化
2019年、Criteoはどう進化していくのか。小野氏は、「インターネット事業を成長させたいあらゆるマーケターにとって、魅力的なコマースマーケティングプラットフォームへ進化していく」と決意を述べた。そのために、2つの事業領域を拡大していくという。それが「プロダクトのポートフォリオ」と「クライアント領域」の拡大だ。
従来Criteoが提供してきたサービスは、一度サイトを訪問して既に商品に興味があるという、「見込み客」に対する施策だった。しかし、マーケティングにおいては「潜在客を見込み客にすること」、また「顧客をロイヤルカスタマーに育成すること」も重要となる。そのため、Criteoは今後、このマーケティングにおける「すべてのファネル・課題」に対して、一気通貫でサポートできるソリューションとなるべく、サービスを促進していくという。
また今後は、自動車、消費財といった「ナショナル・ブランド」、「アプリファースト企業」などクライアント領域を拡大し、「それぞれのマーケティング課題を解決する新しいソリューションを提供していく」(小野氏)と、2019年の展望を述べた。