メッセージ統一と話題化が重要に
MarkeZine編集部(以下、MZ):マクドナルドからナイアンティックに移られて、足立さんの話されることや次の一手に多くのマーケターが注目しています。
足立:そうかな(笑)。ナイアンティックではまだ仕込み中で、今お話しできることがないんですが、これまでのことなら多少お話しできると思います。
MZ:せっかくお時間をいただけたので、「ソーシャルメディアの活用」「マーケティングのKPI設計」「組織作りとキャリア形成」という3つのテーマでお話をうかがいたいと思います。各テーマの話に入る前に、まず前提として、現在のマーケティングに必要なのはなんだと思いますか?
足立:大きくは2つあると思っています。1つ目は、マーケティングコミュニケーションのすべてを考えること。広告、ソーシャルメディア、アプリなどありとあらゆる顧客接点を管理しないといけません。なぜなら、顧客からすれば、その情報をTwitterで見たのかWebの記事で見たのかなんて、覚えていないからです。あなたも覚えていないでしょ?
MZ:確かにそうかもしれません……。
足立:僕だって、いち生活者としては覚えていないですよ。だからこそすべての顧客接点のメッセージラインを統一しないと、頭には残りません。実店舗がある企業ならば店頭も含め、コミュニケーションのすべてを把握することが大事です。
MZ:2つ目はどうでしょうか。
人の話題にしてもらうことです。企業がブランドや商品を自画自賛しても、今の時代はほとんど信用されませんよね。広告の信頼性が、残念ながら落ちています。だからこそ、人の話題に上らないと売れなくなっており、それは様々な企業の失敗からも明らかです。
購買や行動喚起には、芸能人より身近な友人
MZ:全部を手がけて、かつ、人に言ってもらうということは、その“全部”の要素のうちPRの重要性が増しているということでしょうか。
足立:そうです。3つのテーマの中でも「ソーシャルメディアの活用」に通じる話ですが、今は企業からのメッセージより友達の意見のほうが信用できる時代です。どのマーケターもそれは実感していると思います。
最近はインフルエンサーマーケティングという言葉も定着しつつありますが、別に有名人である必要はないんですよね。いかに、お客さん自身が信頼している人からメッセージを発信してもらうか。有名人は、フォローしていても流している人がけっこう多いので、購買や行動に結びつくという点では身近な友人が圧倒的に有効だと思います。
MZ:以前、足立さんの記事で「インフルエンサーマーケティングは決して新しい概念や手法ではない」とおっしゃっていたのを読みました。
足立:そうなんですよね。SNSが当たり前になって、やりやすくなった部分はありますが、たとえば「皇室御用達」だって立派なインフルエンサーマーケティングですよね。皆が信頼している方の“御墨付き”だから付ける意味がある。つまり、デジタル時代だからインフルエンサーマーケティング、という見方は少し違うと思いますね。
ただ、身近な人の推薦を拡散するのにソーシャルメディアは確かに重要ですし、他の要素との組み合わせるとその効果を一層大きくすることもできます。