ソーシャルの話題化に使える戦術とは
MZ:Twitterでキャンペーンを拡散するとき、何をいちばん重視されていますか?
足立:基本的には、いち生活者としての感覚を持つことを大事にしています。最大公約数的な意見を聞いても、アイデアは生まれないので、ここ数年はグループインタビューも止めました。ターゲットに近い周囲の人に直接話を聞くことはありますが、「自分だったらリツイートするか、買うか」が1番の判断基準にしていました。
その上で、戦術として話題化を促進する方法はいくつかあります。たとえば、何らかの選択肢を設けて参加性を高めるとか、「おいしい?!おいしくない?!」のような対立構造を作るとか。そういった事例はTwitterを眺めていると見えてくると思います。
ただTwitterにも弱点があって、それは若い人が大半ということなんですね。リーチ数に限界があるし、年々増加を続ける65歳以上の高齢者にはほとんど届きません。それを補完する点でも、マス広告と併用して売上のインパクトを出していました。話題化=売上ではないので、そこも含めた設計が大事だと思います。
MZ:ソーシャルメディアの活用1つとっても、情報発信する順番や話題作りのきっかけなど、気を付けるべきことはたくさんありますね。次回は、多くのマーケターが課題としている「マーケティングのKPI設計」をテーマに迫ります。お見逃しなく!
足立光(あだち・ひかる)
1968年、米国テキサス州生まれ。一橋大学商学部卒業。P&Gジャパンマーケティング部に入社し、日本人初の韓国赴任を経験。ブーズ・アレン・ハミルトン、およびローランドベルガーを経て、ドイツのヘンケルグループに属するシュワルツコフヘンケルに転身。2005年には同社社長に就任。赤字続きだった業績を急速に回復した実績が評価され、2007年よりヘンケルジャパン取締役シュワルツコフプロフェッショナル事業本部長を兼務し、2011年からはヘンケルのコスメティック事業の北東・東南アジア全体を統括。ワールド執行役員国際本部長を経て、2015年より日本マクドナルド上席執行役員マーケティング本部長。2018年9月28日よりナイアンティック アジアパシフィック プロダクトマーケティング シニアディレクターを務めるほか、オンラインサロン「無双塾」も主催。
著書に『マクドナルド、P&G、ヘンケルで学んだ 圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』(ダイヤモンド社)、『「300億円赤字」だったマックを六本木バーの店長がV字回復させた秘密』(WAVE出版)。
