「片手間」のSNS活用は見破られる
――共感を呼ぶような施策を考えるために、マーケターができることは何でしょうか?
長田:最近では大学生世代の人が起業したり、企業と手を組んで何かをしたりする機会が増えてきています。やはり年齢の差が大きければ大きいほど、若者視点で物事を捉えることは難しくなってきます。これからは若者と共創していくことも求められるのではないでしょうか。
澤邊:若者をターゲットにした商品・サービスの市場は縮小傾向にあるように思います。一方で、少子高齢化にともなって早期から若者を囲い込もうと考える企業も多い。
それでも、そうした企業のコアターゲットは若者ではないので、本腰を入れて施策立案から実行までをしているところは少ないように感じます。SNS活用ひとつとっても、広告代理店がリストアップしたインフルエンサーの中から適当に人材を選ぶケースが散見されますね。インフルエンサーのアカウントを見れば、自社の商材に適した人材なのか、抱えているフォロワーがどういった人なのかはすぐに把握できるはずなのに、そこまで注力できていない企業が多いように思います。
先ほど長田も言っていましたが、若者は広告案件に関して非常に敏感です。我々よりもSNSに費やす時間は圧倒的に多いわけですから、若者が違和感を覚えるような施策にならないためにも、地道に若者のニーズや趣向を日々インプットしていく必要があると思います。
長田:SNSへの投稿文で使用する絵文字のチョイスひとつでも、「何か違うな」という感覚になるようですね(笑)。
ファッション以外の領域にも挑戦
――最後に、御社における今後の展望を聞かせてください。
澤邊:マーケティングにおける SNSの影響力は今後も拡大していくと考えています。中でも、若者にとってのSNSは「ツール」ではなく「日常そのもの」に移り変わってきています。
弊社としては、冒頭で申し上げたブランドステートメントを実現するために、より深く若者を知るため仮説検証を継続して行っていきたいと思いますし、そこで得た知見をマーケティング領域で活用する取り組みをさらに推進していきたいです。リアルでは、ファッション以外にも食やエンタテイメント領域の導入を検討しています。
長田:今後も、「SHIBUYA109 lab.」の活動を通じて、企業の若者向けマーケティングを支援していきたいと思っています。企業との共同での取り組みの機会も増やしていきたいですね。SHIBUYA109のロゴが新たになるタイミングで、新しいチャレンジに挑戦していきます。