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西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「終わったのはテレビじゃなくマスマーケティング」スマニュー西口×電通デジタル有園の平成振り返り対談

生活者自体が循環型システムを形成している

西口:腑に落ちますね。テレビが終わったのではなく、マスマーケティングが終わったのだと。

有園:そう、生活者が“マス”ではなくなったから。ちょっと共感されにくいんですが(笑)、集団としての生活者が、情報を流通するある種の循環型システムを形成している……と捉えています。そのリゾームはいろいろなクラスタから形成されていて、Twitterが効く人たちもいればInstagramが効く人たちもいて、テレビが効く人たちも依然、いるんですよね。

西口:そこに投下すれば、テレビも効くわけですね。

有園:そうだと思います。かつ、形成する一人ひとりが、常に肌身離さずスマホをもっているということも大きいですよね。スマニューの「今すぐダウンロード!」が有効なのは、「テレビの前でスマホを触っている」という瞬間を捉えているからじゃないでしょうか。

 Googleが提唱している「モーメント」と同じですね。先ほど、ターゲットの問題を挙げられていましたが、スマニューはターゲティングしているんですか?

西口:いえ、オールターゲットです。事前にかなりコンセプトスクリーニングをしたのですが、結局F1向けの番組といっても厳密には区切れないので、オールリーチで入れてみて、効くところに寄せるというデジタルの手法でテレビCMを運用しています。

 スマホとの相性はまさにそうで、テレビに集中して情報を摂取しているニュース番組などでは効かないんですよね。ニュースに集中していて、スマホに気がいっていない。

有園:アプリの特性からは、ニュース番組と親和性がありそうなのに。じゃあ逆に軽めの番組のほうがいいんですね。

影響力を増幅させるテレビCMの機能

西口:スマニューの場合は、そうですね。他業界の傾向もずっと見ていますが、少なくともアプリだと、Googleトレンドが伸びているものはダウンロードも増えていますね。車や携帯キャリアでも、相関があります。

 宣伝するわけじゃないんですが、Googleトレンドが上がらないテレビCMは、まず効いていないですね。ちなみに有園さんは、テレビCMに検索キーワードを入れたのは、どういったところから発想したんですか?

有園:あれは、私自身がテレビCMで気になったワードを検索していたので、同じことをする人もいるんじゃないかなと思ったんです。でも、博報堂の協力で30本ほど調べたんですが、全然相関が見られなくて。

 この仮説はダメだったかと思ったら、ひとつだけきれいに効いていたのがNTTドコモの「パケホーダイ」でした。新しいサービスで、プレスリリースは出ていても一般の人はほとんどテレビCMで初めて耳にする。要は、聞き慣れない言葉じゃないと人は検索しないとわかりました。

西口:おもしろいですね。

有園:もちろん、テレビCMの機能は認知獲得だけではないですし、先ほどのリゾームを前提に他のチャネルと組み合わせると、影響力を増幅できます。

 その好例が分析に携わった2015年の11月11日、ポッキーの日のキャンペーン「PROJECT:シェアハピ」です。三代目J SOUL BROTHERSを起用したダンスコンテストを軸に、CMとYouTubeと店頭で盛り上げを図って、売上を大きく伸ばしました。

西口:なるほど、それもCMがリゾームの中に位置づけられていたから効果を発揮したということですよね。

有園:そうですね。逆に、認知や話題を獲得しても、プランニングが甘いと話題化どまりで売上に結びつかないことも往々にしてあると思います。

後編では、引き続きモーメントと顧客インサイトをつかむ考え方や、今だからこそマーケターに必要な視点を話し合います。お見逃しなく!

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30453

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