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「終わったのはテレビじゃなくマスマーケティング」スマニュー西口×電通デジタル有園の平成振り返り対談

2019/03/07 08:00

 本連載では、スマートニュースの西口一希氏が経営者やCMOなどマーケティングそしてビジネスの最前線で活躍する人物を訪ね、「マーケティング視点の経営」についてディスカッションする。今回は、同じくMarkeZineにて連載を持つ、電通デジタルの有園雄一氏との対談が実現。このタイミングだからこそ「平成」の30年間を振り返りつつ、変わりゆく生活者の姿とマーケティングの変容について議論した。

30年で「テレビCMは効かなくなった」のか?

株式会社電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)スマートニュース株式会社 執行役員 マーケティング担当 西口一希氏(写真右)
株式会社電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏(写真左)
スマートニュース株式会社 執行役員マーケティング担当 西口一希氏(写真右)

西口:今回は、一度ゆっくりお話ししたいと思っていた有園さんをお迎えしました。そしてこのタイミングなので、MarkeZineさんから「平成」という大きなテーマをもらいまして……。

有園:なんと大きな(笑)。

西口:助走をつけながら始めたいと思います(笑)。我々の世代は、平成の30年がそのまま社会人人生みたいなものですよね。言わずもがな、この30年でマーケティング環境は劇的に変わりました。1989年に平成元年となって、僕がP&Gに入社したのが90年ですが、有園さんは最初のキャリアをアメリカでスタートしているんですよね?

有園:そうですね。私もストレートに卒業していたら92年から社会人なんですが、2浪2留してその後に、留学して大学院に行ったので、働き始めたのは98年ごろでして。ルックスマートというIT企業で、検索のカテゴリー分けの先駆けのようなことをしていました。その後、2000年に帰国して日経BP、オーバーチュア、Googleと転職してアタラを経て今に至っています。

西口:インターネットが加速度的に発展していく中、ずっとその領域で最先端に居続けてこられたわけですよね。テレビCMの最後に検索キーワードを挿入するのを発案したのが、有園さん。僕がマスマーケティングの世界で格闘していたころです。

有園:当時は全然、デジタルが武器になっていなかったですからね。でも、とっかかりとしてテレビCMの話をすると、私が帰国した2000年には既に、博報堂の人から「クライアントに『テレビが効かない』と言われる」と聞いていました。

景気後退とOne to Oneマーケティングの萌芽

西口:この30年をマーケティング視点で捉えると、テレビCMの話は必ず挙がると思います。今、スマートニュースではテレビCMで大きな手応えを得ているので、その当時から今に至るまで言われ続けている「テレビが効かなくなった」というのが、果たして本当にそうかという疑問があるんです。確かに、

 皆が違うものを見ている時代だから昔ほどの効力はないにしても、メディアの問題とターゲティングの問題とクリエイティブの問題を分解せず、一緒くたにしてテレビのせいにしているところがあると思っていて。

有園:同感です。ひとつ、景気の影響はありますよね。これは持論ですが、“テレビCMが効かない”言説は、1985年のプラザ合意※に端を発していると思っています。これを機に急激に円高にシフトして、バブルが興り、その崩壊とともに平成が始まりました。

※日・米・英・仏・西独の先進5カ国による為替レート安定化に関する合意。特に米国の対日貿易赤字の軽減のため、結果的に円高ドル安を誘導する内容となった。

西口:確かに、そもそも消費が景気に左右されますからね。

有園:それで、プロダクトライフサイクルの導入期、成長期に一気にテレビCMを入れればモノが売れるという現象が成立しなくなった。時を同じくして、95年にWindows95が登場して、モデムを使って電話回線から一般の人がインターネットに接続するようになりました。景気後退のカウンターパートに、オンラインのダイレクトマーケティングやOne to Oneマーケティングが芽吹き始めてきた、と。

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