2018年、訪日客は3,000万人を突破。爆買いブームが一段落したとはいえ、インバウンド消費に期待を寄せる企業は多い。そして日本のEC事業者も“ネットインバウンド”とも呼ぶべき「越境EC」への参入が本格化してきている。そこで今回、マーケティングのトピックスとしても注目が集まる「越境ECビジネス」について、前編・後編に分けてお届けする。前編は、越境ECを取り巻く環境、ビジネスモデルについて紹介。解説は、10年以上にわたって越境ECサービスの構築・運営に携わる越境EC専門家の仲里一義氏(ジグザグ 代表)です。
海外ユーザーは既に来ている⁉日本のECサイト2~8%が海外からのアクセス
国内向けに運営しているECサイトのアクセスのうち、2~8%程度が海外からのアクセスだということをご存知だろうか。月間100万アクセスあるECサイトを運営していた場合、そのうちの2~8万が海外ユーザーからのアクセスということになる。しかし、この2~8%は購入につながらないケースが多い。海外からわざわざ日本のECサイトに辿り着いてくれたのに、サイトが海外対応していないがために、欲しいものが購入できずに離脱するという事態が起きているのだ。
これは、リアル店舗の接客に置き換えてみれば、わざわざ店舗に足を運んでくれた外国のお客様を門前払いするようなもので、非常に無礼な印象を与えていると想像できる。昨今、リアルインバウンドを取り込もうとする動きが活発だが、その一方で、ネットインバウンドは完全に見落とされているのだ。
本記事では、「越境ECビジネス」の本質を掴んでもらいながら、限られたリソースの中でも実現可能な対策について、具体的手法と共にお伝えしていきたいと思う。
世界の越境EC市場規模は2020年に1兆ドルに迫る
まずは越境ECにまつわる数字をご紹介しよう。越境EC市場は、世界規模で拡大している。昨年、経済産業省から発表された「通商白書2018」によると、世界の越境EC市場規模は、2014年に2,360億ドルとなり、その後も拡大を続け、2020年には9,940億ドルに上る見通しだ。また越境ECの利用者数は2014年時点で3億人に対し、2020年には約3倍の9億人を超えると予想されている。「国境」を意識せずに、人々が欲しいものを手に入れられる時代がすぐそこまで来ているのだ。
では、日本ではどうだろうか。日本のEC市場に目を向けてみると、2017年度の国内EC市場規模(BtoC)は16兆5,054億円で、対前年比9.1%の伸び率だった。
16兆円のうち「物販系分野」は8兆6,008億円で、こちらも昨対を上回る結果だ。
国内市場も一見好調に見えるが、楽観的に受け止めてはいない。日本の人口減や超高齢化社会に突入していく中で、国内だけに目を向けていては限界があるという危機感は、以前にも増している。だからこそ、日本のEC事業者が新たな活路として熱視線を送るのが「越境EC」である。しかし、越境ECのビジネスモデルを正しく理解しているEC事業者は少ない。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
この記事は参考になりましたか?
- 関連リンク
- 世界中の欲しいに応える「越境ECビジネス」最前線連載記事一覧
-
- 三陽商会が15億円投資するデジタルトランスフォーメーション戦略とは?越境ECにも注力する背...
- 【ECサイト海外対応の落とし穴!?】海外ユーザーを阻む3つの壁
- 【これだけは押さえておきたい】越境ECビジネスの基本~6つの事業モデルと海外対応
- この記事の著者
-
仲里 一義(ナカザト カズヨシ)
株式会社ジグザグ 代表取締役/越境EC専門家
1974年生まれ。ネット広告「オプト」でWebマーケティングに従事し、営業部長や新規事業本部の統括を歴任。その後、越境EC支援と海外転送サービスの「groowbits」代表取締役就任。国際物流を軸に日米韓独とサービス拠点を拡大。爆買いブーム以前から越境EC支援に取り組み、各ビジネスメディアに取り上げられる。2015年「株式会社ジグザグ」を創業。海外通販サイトから、国をまたいで自由にモノが買えないという実体験から、購入者と販売者双方を支援する越境EC支援サービスを開発。国内ECサイトが最短1日で125ヶ国対応可能になる『WorldShopping BIZ』を2017年にリリース。その利便性の高さから国内200サイト超に導入されている。10年以上にわたるウェブサービスや越境ECビジネスの事業経験を元に、メディア取材やセミナー登壇にも応じている。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
