日本の眠れる越境EC市場は3,000億円前後の規模に拡がっている
以上、6つのモデルを紹介した。いずれも取引の流れを理解して、自社に適した越境ECがどれなのか、一度は熟慮してほしいと思うのだが、その前に冒頭でお話した「国内ECサイトにやってくる海外ユーザーが2~8%存在する」という話を思い出していただきたい。
国内EC市場規模(物販のみ)8.6兆円に、この海外からのアクセス2~8%を当てはめてみると、実は日本の眠れる越境EC市場は3,000億円前後の規模に拡がっているのではないかと推測することができる。この点を踏まえても、まずは「自社ECサイトの海外対応化」が必須であるということは声を大にしておきたい。
紹介した事業モデルで言うところの「1.国内自社ECサイト」の越境EC対応化である。具体的には、多言語ショッピングカート・海外決済・海外物流・外国語でのカスタマーサービスまでを自社で対応することになる。サイトの改修や社内オペレーションの変更、外国語に対応した人材採用などやることも多く、当然ながら重いコストがのしかかることも課題であった。
しかし、これらをクリアするサービスが近年登場してきている。翻訳サービスや、購入代行・転送サービス等である。また、手前味噌ではあるが当社でも、国内向けECサイトに「JavaScriptを1行挿入するだけで」世界の顧客に対して、多言語のショッピングカートを表示し、(当社を介して)海外顧客が商品を購入することができるソリューションを提供している。
このようなサービスの活用も視野に入れ、一日でも早く、「買いたいのに、買えなかった」という事態をなくしてほしいと思う。
後編では、越境ECを始める際の課題やその解決手法について、具体的事例と共に紹介していく。