SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第105号(2024年9月号)
特集「Update:BtoBマーケティングの進化を追う」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

世界中の欲しいに応える「越境ECビジネス」最前線

三陽商会が15億円投資するデジタルトランスフォーメーション戦略とは?越境ECにも注力する背景を探る

 2018年、訪日客は3,000万人を突破。爆買いブームが一段落したとはいえ、インバウンド消費に期待を寄せる企業は多い。そして日本のEC事業者も“ネットインバウンド”とも呼ぶべき「越境EC」への参入が本格化してきている。マーケティングのトピックスとしても注目が集まる「越境ECビジネス」について、現場の手法をお届けしている本連載。今回は越境EC専門家の仲里一義氏が、中期経営計画の中で「Future Sanyo Vision」という新ビジョンを掲げ、大規模な組織改革やデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に取り組む三陽商会の元へ直撃。前期費1.5倍の15億円を投資するDX戦略を通して同社が目指す新しい顧客体験、またその中で越境ECに取り組む意味を聞きました。

DXに大胆に舵を切った三陽商会の意図

仲里:三陽商会は、中期経営計画の中で2018年10月に「Future Sanyo Vision」という新ビジョンを掲げ、組織改革やデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に取り組まれていますよね。特に、2019年度はDXに注力し、前期費1.5倍の15億円を投資すると発表されています。このような大規模な改革に至った経緯、背景にある課題感を伺えますか?

(写真左から)株式会社ジグザグ 代表取締役/越境EC専門家 仲里一義氏/株式会社三陽商会 デジタル戦略本部 デジタルマーケティング部 デジタル戦略部長 兼 EC運営部長 安藤裕樹氏/株式会社三陽商会 デジタル戦略本部 デジタルマーケティング部 デジタル戦略課長 花輪俊夫氏
(写真左から)株式会社ジグザグ 代表取締役/越境EC専門家 仲里一義氏
株式会社三陽商会 デジタル戦略本部 デジタルマーケティング部 デジタル戦略部長 兼 EC運営部長 安藤裕樹氏
株式会社三陽商会 デジタル戦略本部 デジタルマーケティング部 デジタル戦略課長 花輪俊夫氏

安藤:当社では、5年ほど前からオムニチャネルの推進とEC強化を進めてきました。ただ、「売上を伸ばすこと」に議論が集中してしまうことが多く、売るための仕組みばかり考えてしまっていたんです。そうではなく、バリューチェーンに関わるすべての領域を最適化していかなければいけないと改めて感じました。

花輪:あわせて、実際に店舗にはどのようなお客様が来店され、どのような行動をしているのかという、これまで感覚値でしかわからなかった情報を可視化していく必要があると考えました。こういった情報をデータ化することができれば、議論が主観的にならず、建設的な意見を交わしやすくなります。

安藤:また会社としては、「データの活用と業務の効率化」も進めていく必要がありました。そのためにも、デジタルの活用は必須だったんです。

仲里:それらを実現するために、15億円の投資が必要だったと。

安藤:そうですね。15億円という金額も、最低限必要な金額として予算化しているだけで、大規模とは捉えていません。今回の投資で効果が見えれば、追加投資もあり得ると考えています。

DXを通して三陽商会が実現したい顧客体験

仲里:DXを通して、三陽商会が実現したい顧客体験とはどのようなものなのでしょうか。

安藤:すべてのチャネルがシームレスにつながり、お客様がそのときの状況に合わせて自由に使い分けができる状態を実現したいと思います。また、お客様が欲しい情報を適切なタイミングで受け取れるような仕組みも構築したいと考えています。

安藤:当社のように複数ブランドを所有しているアパレルの場合、総合モール型の自社ECか、ブランドごとにECを切り出すかのどちらかになるケースが多いのですが、当社は自社モール型の「SANYO iStore」と、個別ブランドのECサイトのどちらも保有しています。これは、お客様のニーズや状況に合わせて好きなほうを利用いただけることを想定しているからです。

花輪:実店舗に例えるとわかりやすいと思いますが、ショッピングモールでいろんなブランドを見て回りたいときもあれば、好きなブランドの路面店でじっくり商品を選びたいときもありますよね。

 また当社ではシームレスな顧客体験を実現するため、実店舗とECの連携を強化しています。2015年の段階でECと実店舗の会員IDの統合は完了しており、独自の会員制度は、百貨店の店舗でも利用が可能になっています。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
AIカメラを導入し「店頭の行動データ」を可視化

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
世界中の欲しいに応える「越境ECビジネス」最前線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

仲里 一義(ナカザト カズヨシ)

株式会社ジグザグ 代表取締役/越境EC専門家 1974年生まれ。ネット広告「オプト」でWebマーケティングに従事し、営業部長や新規事業本部の統括を歴任。その後、越境EC支援と海外転送サービスの「groowbits」代表取締役就任。国際物流を軸に日米韓独とサービス拠点を拡大。爆買いブーム以前から越境EC支援に取り組み、各ビジネスメディアに取り上げられる。2015年「株式会社ジグザグ」を創業。海外通販サイトから、国をまたいで自由にモノが買えないという実体験から、購入者と販売者双方を支援する越境EC支援サービスを開発。国内ECサイトが最短1日で125ヶ国対応可能になる『WorldShopping BIZ』を2017年にリリース。その利便性の高さから国内200サイト超に導入されている。10年以上にわたるウェブサービスや越境ECビジネスの事業経験を元に、メディア取材やセミナー登壇にも応じている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/07/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/31590

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング