「文具×キッチン」のギャップが話題化に寄与
――『マジックインキッチン』が話題になるよう御社のほうから仕掛けたことはあるのでしょうか?
稲本:プレスリリースの配信以外には、特に仕掛けはしていません。商品開発の段階で広がりのイメージを強く持って形にし、あとは良い意味での話題化が起こるのを祈って待つだけです(笑)。
話題化に寄与した点を挙げるとすれば、「彩のあるビジュアル」「文具から塩が出てくるというギャップ」「本家同様の容器」といった細かなこだわりの部分なのかなと思います。また、具体的な用途をイメージできる画像とキャッチコピーが受け手の想像をかき立て、結果として話題につながったと感じています。

――実際に『マジックインキッチン』を購入された方からはどういった声が集まっていますか?
稲本:女性からは「瓶が可愛くて集めたくなる」「持ち運びに丁度良い大きさなので、子供に持たせます」といった声をいただいています。また、年配の方からは「学校や仕事でよく使っていたが、最近はマジックを使う機会がなくなっていたところ、こんな形で手にすることができて嬉しいし懐かしい」といった声もありました。
それとは別に、「関西と福岡以外でも買えるようにしてほしい」というご要望を多数いただいています。今は全国展開が急務です。
初回生産分の在庫は10日間以内でゼロに
――ネットで話題になる前と後でどういった変化がありましたか?
稲本:ネットで話題になる前は普段お取引をしている店舗のみでの販売でしたが、話題になった後は取材が5件ほど入り、一般のお客様からも「どこで購入できるのか」という問い合わせが毎日数件ありました。
さらに、取り扱い希望店舗の問い合わせも増え、初回生産数4,000個の在庫が10日も経たないうちに尽きたため、10,000個の生産を追加発注しました。新規の小売店や問屋さんから取り扱いを希望するお問い合わせをいただきましたが、話題直後は生産ペースが追いつきませんでした。発売から1ヵ月半ほど経過して安定供給が可能になった時期から、対応させていただきました。
――『マジックインキッチン』は、「マジックインキ」「キッチン」「マジック(魔法) in キッチン」という3つの意味が含まれている非常にキャッチーな商品名です。どういった発想でこの商品名を考えたのでしょうか?
稲本:弊社が販売する商品の名前は、ほとんど私一人で考えるのですが、これまで実は感覚的に行ってきました。「モノづくり」の過程で登場する重要なキーワードやセリフを頭の中で巡らせて、ひらめきを待ちます。瞬間的に商品名が思い浮かぶ場合と、ひらめくのに数か月間かかる場合があります。
意識しているのは、商品名を見てツッコミたくなるような名前をつけることです。「ツッコミたくなる」ということは、それだけ心に引っかかりが生まれているということですので。