昨年比最大2倍の売り上げ見込みも
――ネットで話題になる前と後では、どういった変化がありましたか?
曽我: 2018年の年間受注件数が201だったのに対し、2019年は2月現在の時点で既に158件のご注文をいただいています。また、Twitterのフォロワー数も4,000人から7,000人へと大幅に増えました。取材オファーも2件ほどから受けました。肝心の売り上げも多少増加しましたが、残念ながら在庫があまりなく、ご注文の大半は制作予約という状態です。順調に制作が進めば、昨年比1.5~2倍の売り上げになると想定しています。
――グローバルなトレンドを察知し、日本というローカルなマーケットで上手く波に乗るためのヒントなどはありますか?
曽我:グローバルでは瞬間的なトレンドとして盛り上がっていたようですが、国内ではここ10年間ほど深海魚やサメの人気が集まってきていました。先ほど申し上げたように、『サメのぬいぐるみ』を購入したいと思う方の規模はそこまで大きくありませんが、裾野が広がれば頂上の狭い部分の面積も増えます。『サメのぬいぐるみ』に限らず、どんなジャンルにも一定数熱狂的な層はいます。大切なのは、そういった層に対して恥じない品質の商品を作り続けることだと思っています。
「裏側」の情報を発信し親近感を醸成
――最後に、Markezine読者の方に向けて何かアドバイスをいただけますか?
曽我:ネットで支持されるコンテンツ、つまり「おもしろい」コンテンツを出し続けるには、ある程度才能も求められると思います。ですので、自社製品・サービスに魅力を感じ、それを効果的に紹介できるような人材を確保することが重要ではないでしょうか。社内にいなければ、委託してでもそういった人材を探すことが大切だと思います。
これらを実現することが厳しくても、とにかく数多く情報を発信することが肝要です。それにあたっては、情報を出す先を整理できるTwitterのリスト機能が有効ですね。その他、画像を頻繁に使ったり、迅速かつ細かな投稿をしたりすることを意識しています。
たとえば、ぬいぐるみを縫っている最中の写真や「布を買ってきました!」という投稿は、実は結構反応が良いんです。これは、販売主の裏側を知りたいという潜在的なニーズがあるということを意味しています。こうした普段あまり目にできない情報も発信することで、親近感を持ってもらうことができます。
――どうもありがとうございました。
海外でIKEAの『サメのぬいぐるみ』に火がついたのが2018年10月。日本に飛び火したのは2019年1月頭のことなので、海外のトレンドが2~3ヵ月後には日本でもトレンド化したことになります。海外のトレンドを把握し、それが日本においても受け入れられるものなのかを察知できるか否かが重要なようです。曽我氏がこうしたアンテナを常に持っていたからこそ、数十文字のツイートが注文殺到という状態につながったのではないでしょうか。
