ファンマーケには「狙うべき層」が存在する
最初のセミナー「ネット番組を活用した#コンパスのファンマーケティング」では、メディアプロデューサーやMCとして活躍するコットン太郎氏が、#コンパス戦闘摂理解析システム(以下、#コンパス)において実践しているコミュニティづくりについて説明した。
#コンパスは、ドワンゴとの共同開発によって生まれた対戦ゲーム。ゲームそのものだけでなく、ネット番組や踊り、歌など幅広いコンテンツが展開されているのが特徴だ。
コットン太郎氏は、ゲームにおけるファンマーケティングの目指すところを「ゲームへのモチベーションを高め、ユーザー同士が活発に交流し、非ユーザーに楽しんでいる姿を見てもらい、興味をもってもらうこと」と掲げた。盛り上がりを外に向かって見せていくことで、その姿を見た非ユーザーの記憶に残りやすくなる。また、盛り上がりに気づいたゲーム実況者にネタとして取り上げてもらえれば、実況者のファンへのリーチにもつながる、という良い流れを生み出しているのだ。
コットン太郎氏は、ファンコミュニティを盛り上げるための考え方として、ユーザーを2種類に分けて捉えていると明かした。
まずは左の、「ゲーム好きの人」。彼らの興味関心は、アップデート情報や大会への参加が中心となる。一方、右側の「コンテンツ好きの人」は、生放送の視聴やSNSでの発信などに関心が高く、グッズ集めにも積極的だ。コットン太郎氏は、ファンマーケティングにおけるターゲットは、後者であると考えている。
「ゲーム好きの人とコンテンツ好きの人では、『盛り上がり方』が違います。イベントに来てくれて、『盛り上がってますかー』と問いかけると、『わーっ』とやってくれるのは、コンテンツ好きの人が多いのです」(コットン太郎氏)
また、セミナーで繰り返し使われたキーワードは「横のつながり」だった。たとえば、ネット番組「#コンパスエンジョイ部」で使用されているイラストは、視聴者に投稿してもらったものだという。コットン太郎氏は「自分たちが好きなものと、同じものが好きな人がいるのだ、という横のつながりを感じてもらうことが大切」と強調した。
さらに、ゲームやネット番組というオンラインと、イベントなどのオフラインをつなげる施策についても解説。次のような仕掛けを語った。
「たとえば、生放送に出演している『出演者』を共通項にして、彼らとイベントをまわっていく。すると、ユーザーに『知っている人が来る』という動機が生まれるため、来てもらえるようになるのです」(コットン太郎氏)
加えて、ファンコミュニティを盛り上げるために欠かせないのは、イベントの参加者にSNSなどを通じて体験を発信してもらうことだ。これにより、参加者の「楽しかった」と、今回足を運べなかったユーザーの「行けばよかった」という両方の気持ちを高めていく。こうした発信により、イベントに初めて参加した人でも、様子がわかっているため楽しみやすいという効果もある。
ちなみにコットン太郎氏は、ファンコミュニティの盛り上がりには地域差があると実感しているという。「これからファンマーケティングを行っていきたいが、おすすめの地域を教えてほしい」という参加者の質問に対し、「よく足を運んでくれるのは名古屋。コミュニティづくりがうまくできると広がりやすいのは、北海道と九州」とアドバイスした。