一度下がった熱量を再び上げる!モンストの広告コミュニケーション

デジタルマーケティンググループ マーケティング開発チーム 明畠 利樹氏
続いてのセミナー「データ×ファンマーケティング―モンスターストライクの大規模データを用いたデジタル広告領域におけるファンマーケティング事例―」では、ミクシィ マーケティング開発チームの明畠氏が登壇。エンジニアの視点から、モンスターストライク(以下、モンスト)のファンマーケティングについて語った。
モンストは、世界累計利用者4,900万人のユーザーを抱えるスマホアプリ。明畠氏は、モンストにおけるファンマーケティングの目的を、「ネット広告を通じてファンとコミュニケーションをとり、ゲーム内の行動を活性化してもらうこと」と定義している。
「どんな広告を、誰に、どこの媒体に、どんなクリエイティブで出すのかということを考える必要があり、さらにそれらを、何に基づいて決定していくかという問題があります。成果を挙げるには、緻密な広告施策が不可欠です。だから我々は、データを活用しているのです」(明畠氏)

モンストでは、過去5年分のログイン履歴や課金、ガチャ履歴といったゲーム内行動ログと、クリックログやインプレッションログといった広告ログを、DMPを用いて統合。ターゲティングやクリエイティブ、運用最適化といった施策に適用しやすい形で管理している。このデータこそが、モンストのファンマーケティングの要であり、属人化を防ぐことにもつながっているという。
では、データを活用した施策によってどんな成果が生まれているのか。明畠氏は、一例として、休眠ユーザーに対する取り組みを公開した。
休眠ユーザーとは、何らかの理由によってゲームへの関心を失い、プレイを止めてしまった人を指す。広告配信によって、彼らの熱量を取り戻し、再びプレイしてもらうようにすることが、マーケティングのミッションだ。
そこで明畠氏らは、「ログインしない期間が長いほど、モンストへの熱量が下がっている」と定義。一定期間ログインしていないユーザーのリストを、DMPから抽出し、広告を表示した。すると広告リーチ後、多くのユーザーが定期的にログインする「定着した状態」へと変化してくれたという。
「なにも手を打たなければ、全員いなくなってしまっていた人たちだと考えると、すごい効果だと思います」と、明畠氏は施策の手ごたえを語った。
また、この事例を応用して、熱量が下がりはじめ、これからプレイを止めてしまいそうなユーザーに対しても広告を配信。さらに、ヘビー/ライトユーザーのゲーム内行動を、広告を通じて活性化させることにも取り組んでいる。
明畠氏は「勘でなんとなく広告を配信しても、思うような結果が出ないことがある。しかし、エンジニアと共にデータを収集することにより、マーケティング活動をより促進できるのだということを伝えたいです」と述べ、ファンマーケティングにおけるデータの重要性を強調した。