ペルソナマーケティングへの誤解
ペルソナマーケティングを成功させる秘訣は、意外にも改めて「ペルソナ」とは何かを確認することだと吉丸氏は言う。
「当社のセールスチームからの報告によると、『ペルソナを知っているか』という問いに対し、ほとんどの方が知っていると回答されるそうです。そこに、私たちの考えるペルソナの定義との違いを常々感じていました。私たちは『ペルソナとは心理学用語だ』と答えるようにしています。元々は古典劇において役者が用いた“仮面”のことを指すのですが、心理学者のユングは人間の外的側面をそう呼びました。人の本音はおそらくこのペルソナの部分に出てくるだろうと。取引先の企業さまには、ペルソナマーケティングとは心理学の領域に踏み込んだマーケティングだという点に合意いただいてから取り組むようにしています」
また、ペルソナやペルソナを用いたカスタマージャーニーマップを作っても、それを活用しきれていないケースも多く見られると吉丸氏は続ける。
「プロトタイプを作って実際に市場に投げ、ダメだった箇所をプロトタイプに戻す。本当はそここそが重要なのですが、時間がかけられずに終わってしまう失敗例が山のようにあるのではないでしょうか。成功ポイントは、ペルソナづくりに時間をかけすぎず、試作とテストを繰り返していくことです」
AIが不可能な領域に挑戦するために
ペルソナプラットフォームの操作は非常にシンプルで、結果もすぐに確認できる。しかし、それを考察する力や解釈する能力も重要となってくる。そこで本格的な活用に向け、吉丸氏はコンソーシアムの立ち上げを考えているという。
コンソーシアムは、女性市場を捉えるための次世代マーケティングに関わる共同研究の推進のほか、参加企業がマーケティング力を向上させながら新しいマーケティング手法を開発できる環境づくりを目的にしている。参加企業の募集開始は今年9月を予定しているそうだ。
ペルソナプラットフォームに取り込むデータの目標数は、今年度1万サンプル。コンソーシアム参画企業の持つデータと連携、反映していくような構想もある。
講演の最後にWICプロジェクトの今後について、吉丸氏は現在ある種のブームとなっているマーケティングにおけるAI活用についても言及。「今後、分析はAIが担っていくため均一化していくという声もあります。しかし、人とAIは対話していくべきではないでしょうか。ペルソナプラットフォームはAIが不可能な領域に挑戦するためのツール。そうなることをめざしていきます」と締め括った。
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-慶應義塾大学名誉教授 熊坂賢次氏
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