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データで再構築するテレビマーケティング

CMのクリエイティブをデータで科学する/アテンションを集めやすいCMのポイントは?


 広告主にとって事業やマーケティングの成否を左右するCM。これまで、とりわけクリエイティブについては、実態として過去の経験や感覚に依存している部分が往々にしてありました。多くのデータが取得できるようになってきた今、クリエイティブも視聴者のリアルな視聴態勢からデータに基づいて仮説を立て、効果検証できる時代となっています。今回は、クリエイティブの効果検証方法と、それをどう自社のKPIと紐づけるかについて解説していきます。

クリエイティブをデータで科学する

 日本初のCM、服部セイコーの『時報』から60余年、CMのクリエイティブは日進月歩で進化してきました。今もなお、時代の変化とともに新しくかつ先鋭的なCM表現が模索され続けています。広告主にとって事業やマーケティングの成否を左右するCMですが、これまではとりわけクリエイティブについては、実態として過去の経験や感覚に依存している部分が往々にしてありました。

 もちろん、長年積み重ねてきた経験によってこそクリエイティブは進化してきたという面も強くあります。その一方で、デジタルにおいてデータに基づくA/Bテストが一つの重要手法として実践・進化されてきたように、テレビマーケティングにおいても、クリエイティブを客観的なデータを用いて適切に評価しつつ、成功要因を分析してより的確なクリエイティブを作っていく、というニーズが広告主から強く出始めています。

視聴者のアテンションを集めるCMのポイント

 ではここで、当社が独自に調査した2018年の年間CMランキングをもとに、実際に視聴者のアテンションを集めたCMの成功ポイントを読み解いていきます。

出典:2018年 年間テレビCM注視度ランキング
AI値:Attention Indexの略で、注視度=視聴者の視線がテレビ画面に向いていることを示す指標。クリエイティブの見られ方を端的に示すデータの一つ。

 1位はKDDIの『au ピタットプラン「意識高すぎ! 高杉くん お見舞い」 篇 30秒』、2位はNTTドコモの『ベーシックパック「いたずら」篇 30秒』、そして3位はニベア花王の『アトリックス「ハンドミルク・嫁姑」篇 30秒』となりました。

 1位の『「意識高すぎ! 高杉くん お見舞い」篇30秒』は、神木隆之介さん演じる高杉くんが、中川大志さん演じる細杉(こますぎ)くんの家へ行ったところ、家族全員がそっくりだったという意外性のあるビジュアルで視聴者の視線をひきつけたようです。中でも母親役のインパクトは大きく、毎秒レベルのデータを紐解くと、開始15秒頃に母親役が登場し「母です」というセリフを発した瞬間のAI値が最も高くなっています。

 このCMは個人全体ランキングのみならず、MF1、M3のランキングでもそれぞれ1位もしくは2位にランクインしていることから、年齢・属性によらず、広い年齢層の注視を惹いたものと考えられます。

 2位の『ベーシックパック「いたずら」篇 30秒』は、高畑充希さん演じる記者が、先輩役の綾野剛さん、上司役の堤真一さんの様子をiPadで写真に撮り、その写真にタッチペンでいたずら描きをしていくという内容です。クールな役柄を演じることの多い2人が、いたずら描きによってかわいらしくアレンジされていくギャップに注視が集まったようです。

 3位の『アトリックス「ハンドミルク・嫁姑」篇 30秒』は、私生活でも嫁姑の関係にある2人が、商品の機能性について語るCMです。F3層のランキングで1位を獲得したように「濡れたままポンして、スルッとなじませ、サッと流す」という商品特性や、その後に続く平野レミさんの「なんで流すの? なんで?」というセリフがターゲットの疑問を代弁して共感を呼び、高い視聴質を記録したものと考えられます。ちなみに、アトリックスのCMは2017年のランキングも高い注視を記録しており、一貫して商品特性をCMでうまく訴求できていることがわかります。

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この記事の著者

郡谷 康士(グンヤ ヤスシ)

TVISION INSIGHTS株式会社 共同創業者/代表取締役社長 東京大学法学部卒。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、事業戦略・マーケティング戦略案件を数多く担当。リクルート中国の戦略担当を経て、上海にてデジタル広告代理店游仁堂(Yoren)創業。2015年よりTVISION INSIGH...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/26 21:48 https://markezine.jp/article/detail/30645

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