「美容口コミメディア」としてのTwitterの影響力
ひと昔前までは「若年層向け」「男性ビジネスパーソン向け」のイメージが強かったTwitterですが、今では女性マーケティング、特に美容領域のマーケティング施策において急速に活用が進んでいます。
トレンダーズが2018年7月、15~29歳の女性480名に実施したインターネット調査で「美容の情報をどこで収集しているか」と聞いたところ、YouTube(47%)に次いでTwitter(44%)が多い結果となり、さらに「美容商品の購入を検討する際にどこで情報を検索しているか」という質問ではTwitter(32%)が最も多い結果となりました(回答形式はどちらも複数選択式)。このように、特に10~20代の女性にとってTwitterは欠かせない情報収集源となっているのです。
このTwitterの「美容口コミメディア化」は日本独特のトレンドとも言われていますが、その発端となったのが美容情報に特化して発信しているアカウント、「美容垢(びようあか)」や「コスメ垢(こすめあか)」と呼ばれる存在です。「美容垢」は2016年頃からTwitter上で徐々に広まり、2017年に入ってから急増。このワード(「美容垢」もしくは「#美容垢」)を含むツイート数はこの3年で約30倍(※2019年2月と2016年2月の比較)となっています。
Twitterの「美容垢」が人気になった理由
ではなぜこれほどまでに、「美容垢」が人気となったのでしょうか。1つ目の理由としてあげられるのは、商品を使用した感想がリアルな言葉で語られていること。他のSNSや口コミサイトに比べ、Twitterの本来の世界観とも言える赤裸々な「本音感」があることが、見る人により信頼感と説得力を与えているのです。
そして2つ目の理由は、Twitter独特の表現方法にあります。140文字という文字数制限のあるTwitterでは、「アカウント」を「垢」と呼ぶなど、様々な略語が存在します。また、ユーザー間の「距離感の近さ」が魅力のSNSであり、「ヤバイ」「~すぎる」「みんな使ってみて」といった身近な友達に語り掛けるようなカジュアルな表現が多用されることも特徴です。この端的かつダイレクトな表現で美容商材の魅力が語られることで、他メディアに比べ、見る人の心をより強く動かす効果があるのです。
特に若年層の間では、自分の趣味に特化したアカウント「趣味垢(しゅみあか)」をいくつも作り、感性が近い人同士でつながって情報交換をすることが日常となっています。美容に関しても同様の現象が起きており、美容垢ではプロフィールに「イエベ(イエローベースの略)」や「ブルベ(ブルーベースの略)」といった自分のパーソナルカラーや好きなコスメブランドなどを記載しているアカウントが数多く見受けられます。
匿名でテキスト中心のコミュニティだからこそ、リアルに言えない悩みや本音が打ち明けられる。Twitterが女性たちの手軽で身近なコミュニティツールとなっていることも、美容垢が急増した理由であると言えます。