採用への動画活用が加速
動画が活用される領域も、今後さらに広がっていくと考えられる。提供開始時はニュースリリースや記者発表における活用を想定していた同サービスも、いまやそれ以外の用途での利用が70%を占めるという。
「最近特に増えているのが採用での動画活用で、サイバーエージェントや三井住友カードが新卒者向けの会社説明会の代用となる動画を、サイトで公開しています。NewsTVでも、リコージャパンの中途採用施策を手がけました」(杉浦氏)
同社が動画制作を手掛けたリコージャパンは、営業職が強い会社というイメージを持たれており、エンジニアを募集していることが認知されていないという課題があった。
そこで、エンジニア職の求人を訴求する動画を「転職、営業、ITエンジニアに興味のある20~40代」へと配信。その結果、採用サイトへのアクセスが3倍に、応募数が2.2倍に増加したそうだ。
動画は、他にも、様々な領域で活用されるようになってきている。
「たとえば、飲食や不動産、教育、医療、結婚、旅行などの業種で利用が増えつつあります。また、ニュースや採用以外にも、BtoB領域を中心に、展示会やポップアップショップ、イベントなどは行わずに動画のみで訴求したい、ランディングページや記事広告を動画にしたい、チラシを動画化しエリアターゲティングと組み合わせたい、といった多様なオーダーをいただいています」(杉浦氏)
認知だけでなく利用意向も上昇
マーケティング領域においても、動画に携わる企業が増える中、杉浦氏は自社の強みとして「データオリエンティッド」「態度変容するクオリティ」「当日撮影したものを当日配信できる即時性」の3点を挙げた。
「データオリエンティッド」の観点では、同社は自社のDMPを保有しており、自社で手がけた約1,500件分の案件データを、クリエイティブや動画の尺などの制作面と広告フォーマットや利用媒体といった運用面の両方で活用している。
また、「態度変容するクオリティ」に関しては、コマ分析やカット分析、媒体分析、ターゲット別分析、クリエイティブ分析など多様な分析を実施している。たとえばコマ分析では、1秒ごとの離脱データを取得することで、「どのようなシーンが出てくると見られなくなるのか」を把握。次の制作に活かしているのだという。
杉浦氏は、実際に同社の動画を見た人の態度変容を調査したところ、認知はもちろん、ブランドやサービスの利用意向も高くなるというデータを披露した。
現在、新商品やサービスをリリースする際に、Webサイトは欠かせないものと考えられており、Webサイトを用意するか否かがその度に検討されることはない。杉浦氏は、今後は動画も、言うまでもなく必要なものと見なされ、制作することが当たり前になっていくと考えている。
杉浦氏は「今後、動画を作るかどうかの議論はなくなり動画を何の目的で、どう使っていくかという設計が重要になってくるのです」と活用のポイントを強調し、講演を結んだ。