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Domopalooza 2019

データは「行動の変化」を促さなければ意味がない Domoが提唱するデータストーリーテリングとは

データをストーリー&ビジュアルへ変換!その基本は?

 次にダイクス氏は、オーディエンスに伝えたいデータを、ストーリーとビジュアルに変換するための基本事項を共有した。

発見したことをデータストーリーに変換するには
発見したことをデータストーリーに変換するには

 データストーリーテリングにおいては、ドラマ性を生むという観点から、ピラミッドの構造をイメージして物語を組み立てると良いそうだ。最初の段階「セットアップ」では、現状を説明するとともに、フックとして、人々の注目を引くため要素を盛り込む。

 次のステップはダイクス氏が「インサイトを徐々に照らしていくフェーズ」と呼ぶもの。玉ねぎの皮をむいていくように、伝えたい発見につながる要素を明らかにしていく。

 そして、一番の盛り上がり「アハモーメント」において、主だった発見やインサイトの中心部を説明。最後に「解決策や次へのステップ」を加えて物語を閉じる。一連の過程を通じて、オーディエンスの知識を深め、行動する可能性を高めることが理想だ。

 一方、ビジュアル化に関しては「データを探検している状態(Exploratory)から、説明している状態(Explanatory)に変える必要がある」と、ダイクス氏。

 マーケターは、いわば森の中を探検するようにデータを様々な角度から吟味し、分析している。しかし発見したインサイトをそのまま差し出すのではなく、オーディエンスが比較・理解しやすく、コミュニケーションや説明に適した形に変換することが必要ということだ。

実践のコツは「余分な情報を除く」「タイトルが重要」

 次に説明されたのは、「データストーリーテリング」実践にあたっての具体的なノウハウだ。オーディエンスを効果的かつ正確にファシリテートするためには、正しいビジュアル化の方法を選択することが欠かせない。

 まずは、最適なグラフの形式を選ぶところから始める。以下の図には、様々なグラフの形式が示されている。左側にある形式は特定の値を正確に比較するのに適しており、右側に移るにつれ、より包括的な比較に適した形式になっていく。この中から、伝えたい情報に最適な形式を選択し、ビジュアル化を進めると良い。

ビジュアル化のための様々なグラフの形式
ビジュアル化のための様々なグラフの形式

 また、グラフから不要な情報を取り除く作業は、受け手の認知負荷を減らすために欠かせない。その方法には、「余分なデータを除く」「重要性の低いデータをまとめる」「データを分割する」「チャートジャンク(情報を得る上で邪魔になる要素)を除く」などが挙げられる。

 「グラフを作った後には必ず、訴えたい内容を際立たせるのに欠かせない要素と、逆に必ずしも必要のない要素について、自身に問いかけ、ノイズを取り除いてください。『Domo』では、チャートをよりシンプルにする、重要度の低いデータを一つにまとめるといった作業が、簡単な操作によって可能です」(ダイクス氏)

 さらに、「グラフのタイトルはとても重要」とダイクス氏。訴えたいポイントを文章で補足することによって、受け手により直接的に情報を届けられる。

左のタイトル「閲覧数に基づく上位10の記事」よりも、右のタイトル「2月の全閲覧数では、記事Bが2番目に人気のある記事だった」のほうが注目を集められる
左のタイトル「閲覧数に基づく上位10の記事」よりも、
右のタイトル「2月の全閲覧数では、記事Bが2番目に人気のある記事だった」のほうが注目を集められる

 「左側のタイトル『閲覧数に基づく上位10の記事』は間違いではありませんが、右側のように『2月の全閲覧数では、記事Bが2番目に人気のある記事だった』と具体的に示したほうが、より注目を集められます」(ダイクス氏)

 仕上げの段階では、データをよりストーリー性のあるものにするために絵や写真を添えるとともに、データの信頼性を担保するため、グラフのベースラインやタイムフレームが適切かどうかを再点検する。こうしたステップによって、データを活用したコミュニケーションはよりスムーズなものとなる。

 データストーリーテリングの魅力と実践を解説したダイクス氏は「人々は常に意味のあるインサイトを知りたがっています。データを基に、今何が起こっているかを効果的に説明し、啓蒙することで、人々の行動変容を主導してほしいと思います」と、参加者に呼びかけた。

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データサイエンティスト任せではいられない 疑う心と好奇心が大切

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/23 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30955

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