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第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

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江端浩人氏に学ぶ、マーケティングとテクノロジー改革の最前線

「テレビはマスに認知、デジタルで刈り取り」は正しいのか?動画の効果的な活用法を探る

 「5G」の実用化が、いよいよ来年2020年に迫っている。5Gの実用化が進むと、生活者の「動画接触時間」はさらに増えていくだろう。そして近年、AIを中心としたテクノロジーの発達により、動画は「誰でも・安く・簡単に」制作できるようになってきている。こうした背景から、動画を活用したマーケティング施策に期待を寄せる企業は多い。では、動画活用の可能性が広がるなか、より効果的にマーケティングに活用していくためにはどうすれば良いのだろうか。今回は、動画ビジネス周辺のエコシステムを解説していく。

動画活用にまつわる3つの疑問

 前回、5Gが牽引する動画ビジネス拡大の背景を解説した。今回は、動画の効果的な活用法を探るべく、AIを活用した動画効果計測サービスや動画配信ネットワークを提供するアンルーリー社、テレビの視聴質データをAI分析しているTVISION INSIGHTS社、インターネットのプレミアムネットワーク提供のみならず、美容室や歯科医院などにタブレット等を設置してリアルな動画配信インフラを展開するCMerTV社の三社を取材した。

 三社への取材内容をもとに、動画活用における3つの疑問、(1)効果測定はどう行えば良いのか?(2)いつ・どのように配信するのが効果的か?(3)「テレビはマスに認知、デジタルで刈り取り」は正しいのか? について解説していく。

疑問1:動画の効果測定はどう行えば良いのか?

 まず、効果測定について考えていく。広告を含み、マーケティング施策を行う際には、当然その効果を知りたいと思うだろう。たとえばCMの効果を測定したい時には、「視聴率」や事前モニターによるインタビュー調査などの手法がある。ただし、これまでのモニター調査は実視聴環境とは異なる環境で、かつ“事前に”行われていたため、実態と差が生じてしまうという課題があった。しかし今、IoTやAI技術を活用することで「リアルタイム」に効果を計測できるサービスが登場している。

 たとえばTVISION INSIGHTS社は、一般家庭のテレビに人体認識アルゴリズムを組み込んだセンサーと機器を設置することで、誰が視聴しているか、視聴時の顔の向き、表情などを解析する手法を取り入れている。これにより、秒単位の「視聴質」即ち、単に見ているかだけではなく、いつ・どこを・どのように見ており、どのような反応をしたかをリアルタイムに計測している

 また動画配信ネットワークを展開するアンルーリー社は、スマートフォンやPCのインカメラ撮影の許諾を取り、同じく動画視聴者の表情をAIで自動的に解析して「感情データ」を測っている。両社における共通点は、“実際の視聴環境で計測を行っている”ということだ。

リアルタイムに分析し、ターゲット顧客の特性を掴む

 動画視聴者をリアルタイムに分析することができれば、「ターゲット顧客に何をどのように訴えれば効果的なのか」というノウハウを蓄積することができる。当然ではあるが、同じ動画だとしても、視聴者の属性により受け取り方はまったく異なる。アンルーリー代表の香川晴代氏によると、「特に1995年以降に生まれたZ世代に大きな特徴がある」ということである。

アンルーリー 代表取締役 香川春代氏(写真左)と筆者
アンルーリー 日本代表取締役 香川晴代氏(写真左)と筆者

 たとえばZ世代には、「8秒フィルターの壁(動画開始から8秒で、継続して視聴するかの判断をする)」や「動画の長短よりもストーリー性を重視する(長尺であっても、ストーリー性のあるものは見られる)」「男性は刺激的なストーリー、女性は温かみのあるストーリーを好む」などの法則があるそうだ。

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この記事の著者

江端 浩人(エバタ ヒロト)

iU大学教授、江端浩人事務所 代表、MAIDX LLC代表、AlMONDO事業顧問

米ニューヨーク・マンハッタン生まれ。米スタンフォード大学経営大学院修了、経営学修士(MBA)取得。伊藤忠商事の宇宙・情報部門、ITベンチャーの創業を経て、日本コカ・コーラでマーケティングバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/06/11 09:00 https://markezine.jp/article/detail/31211

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