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ビジネスマンのための必読オンラインマーケティング塾

第6回 「ブランド認知 2.0」を考える


量を質に変換する

 ブログでのマーケティングは多様性を持つ市場に対しても、比較的、ブランド認知を高めやすい性質を持っていると思います。まず、ひとつの理由としては、ブログが非常にパーソナリティを伝えやすいコミュニケーション・ツールであることがあげられます。それぞれ異なる文脈を持ったユーザー相手でも、それが会話に近いコミュニケーションであれば、はじめはなかなか一致しない認識も、回を重ねることで徐々に文脈を共有することができます。そして、最終的には認識に一致がみられるようになるでしょう。この時間の経過に沿ってシーケンシャルにコミュニケーションが積み重ねられるという情報デザインの形も、ブログの優位性のひとつに数えられるでしょう。

 そして、この積み重ねによるコミュニケーションのボリュームも、ブランド認知を高める上では有益です。株式会社ホットリンクが、2006年9月4日に発表した「企業サイトに対する消費者の書き込み意識調査」によれば、「どのような企業サイトであればより信用できるか?」という問いに対する回答として、以下の回答が上位を占める結果となりました。

 「情報量が多いサイト」…77.7%
 「更新頻度が高いサイト」…69.9%

 ブログを週に2度ほど更新していれば、1年で100を超える情報が発信されることになります。情報量と更新頻度を判断する最低ラインとしては、このあたりから考えるのがよいでしょう。かつてスターリンは、軍事力について「量にはそれ自体の質がある」と述べたと言われています。この場合、情報量や更新頻度が「信頼」という質に変換されているわけです。いうまでもなく「信頼」という連想は、ブランドにとって重要な認知であり、競合他社ブランドに対する相違点として有効に働くはずです。

ブランド知識のネットワーク

 企業側が情報発信する以外にも、人々がブランドに関する知識を得る方法はあります。それは「口コミ」です。前回も口コミについて書きましたが、こうしたユーザー間の評判のネットワークのほうが、むしろブランド認知の大きな文脈を形成している場合もあるでしょう。

 新しいブランドの認知拡大には向きませんが、既存のブランドがどのようにユーザー間で認知され、どのようなブランド連想をユーザーが持っているのかを、ブログスフィア(ブログ界)におけるブランド知識のネットワークから読み取れれば、ブログや自社サイト、あるいは他のメディアを使ったブランド・コミュニケーションを行う場合でも、ユーザーと企業間での文脈のズレを軽減することができるでしょう。その意味でも、企業は積極的にユーザー間のコミュニティに顔を出し、そこから多くを学ぶ姿勢が必要になると思います。

 このように複雑化した市場のネットワークの中で、ブランディングをめぐる企業側のタスクもまた複雑で、よりインタラクティブなものになっていくと思われます。単純にWebを切り出して考えてみたり、テレビCMとWebコミュニケーションを比較したりというのではなく、プロダクト、プライス、プレイス、そして、プロモーションの「4P」をこれまで以上に統合的な視点でとらえるブランド戦略が必要になってきます。また、そのための仕組みを組織の中につくりあげなくてはならないでしょう。

 次回は、このあたりをもうすこし掘り下げて考えてみようと思います。

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/11/08 16:30 https://markezine.jp/article/detail/313

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