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エンゲージメントはなぜ大切か 三井住友カード「対話型メルマガ」に学ぶメールマーケが見失いがちな価値

エンゲージメントはなぜ売上につながるのか

――そのような課題から、エンゲージメントメール企画に至った経緯を教えてください。

三井住友カード マーケティング統括部 武隈真由氏
三井住友カード マーケティング統括部 武隈真由氏

武隈:まず「伝えきれていない」「伝えようとしていない」という課題を抱えた過去のメルマガでは、「企業として守るべき約束を守れていない」という問題意識がありました。

 企業として伝えるべき有益な情報を、最適なタイミングでわかりやすくお伝えすることは、企業として最低限守るべき約束事ではないでしょうか。エンゲージメントとは、要するに「お客様との約束」を指すと思うのですが、その「約束」を果たすことを目的としたメルマガを配信するべきだと考えました。

福田:そもそもなぜこのような「約束」を果たそうとしているのかというと、それが企業としての責任を果たすことだけでなく、最終的に利益向上にもつながると確信しているからです。

 当社は事業会社なので、売上を増やして解約を減らし、企業として成長していかなければいけません。成長していくために何が一番重要なのかを考えると、結局は三井住友カードブランドを愛してもらい、使い続けていただくことにたどりつきます。つまり、三井住友カードを信頼し愛着を持っていただければ、最終的に利益につながるのです。

グリーティングメールがNPSに寄与した実績が後押しに

武隈:過去の実績もあります。メルマガ会員のリテンション強化を狙い、「グリーティングメール」という施策を行っています。昨年のクリスマスはSNSで約7,500シェアを獲得し、多くの方に喜んでいただけました。今年の夏は、更にパワーアップした企画でより多くのシェアを目指しています。

メルマガ受信者は好きな人にグリーティングメッセージを送れる
メルマガ受信者は好きな人にグリーティングメッセージを送れる

 当社では毎年NPS調査を実施しているのですが、NPSスコアがアップした会員の最大の特徴が、グリーティングメールに接触したことでした。エンゲージメント施策がNPSに対してポジティブな効果を及ぼしたことが推定できました。

――NPSスコアと解約率は密接に関わっていると思われるので、「グリーティングメール」施策が解約抑制に寄与したといえそうですね。

「各部署のコンテンツまとめ」型メルマガをやめた理由

――では、今回「三チャン」を企画するうえで、従来のメールとはどういった差別化を図ろうとしましたか。

武隈:これまでは、担当部がそれぞれのKPIに基づいてお客様に伝えたい内容を制作し、配信していました。お客様にとって有益な情報ばかりではあるのですが、当社システムの関係で配信通数が限られていることもあり、その情報が届くケースと、届かないケースが存在していました。

 なので「三チャン」では、すべての情報の中から特にお客様にとって必要だと思われるものを私たち編集部が取りまとめ、ストーリー性のあるコンテンツに編集しています。

三井住友カード マーケティング統括部 福田保範氏
三井住友カード マーケティング統括部 福田保範氏

福田:今回の企画では、「あなた1stなメルマガ、はじめます。」というコンセプトを立てました。お客様に寄り添い、お客様にとって必要な情報だけを配信することを徹底しています。

武隈:どのようなメルマガを送ればいいのかを考えていたとき、最初に参考にしたのは、私が好きで購読しているオルビスさんのメルマガでした。なぜ自分はオルビスさんのメルマガを気に入っているのかと考えたとき、企業目線で情報を押し付けてくることがなく、自分にとって必要な情報を自然に提供してくれているからだと気づいたんです。

 

オルビスのメールマガジンより
オルビスのメールマガジンより

 そこから、ユーザー視点のメルマガとはどういうものなのか、どのようにコンテンツを設計すれば読んでもらいやすいのかを考えました。

――「三チャン」のメルマガは、メッセンジャーアプリのような会話形式のUIで軽妙なトークが展開され、非常に読みやすいと感じました。会話形式のメルマガはほとんど前例がないと思うのですが、どのような経緯でこのようなデザインができあがったのでしょうか。

武隈:お客様にとって有益な情報を、いかに自然に伝えられるかにこだわりました。「発信者の顔がわかる」「会話の中から自然と内容が伝わる」「読みやすい、親しみやすい」、特にこだわったのは上記3点で、これらを追求した結果、会話形式のクリエイティブにたどりつきました。

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試行錯誤は定性的データをベースに

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

江川 守彦(編集部)(エガワ モリヒコ)

東京大学文学部を卒業後、総合広告代理店でマスメディアの媒体営業業務を経験し、出版社に転じて人文系の書籍編集に従事したのち、MarkeZine編集部に参画。2018年よりオーガナイザーとしてMarkeZine Dayの企画にも携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/23 09:00 https://markezine.jp/article/detail/31543

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