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北野唯我氏が語るSNS時代のマス広告/キャンペーン設計からベンチャー企業の勝ち残り戦略まで


ベンチャー企業がマーケティングで活用すべきは「社員のパワー」

――ここまで、「社員クチコミ図書館」と電車内や駅で展開した広告クリエイティブについてうかがいました。どれもSNSで拡散してもらうことを前提に設計されていたのではないかと思いますが、なぜ最初からSNS上でキャンペーンを行うのではなく、OOHに展開した上で広げることを狙ったのでしょうか。

北野:一つは、「連動性」。マーケティング施策を最大化するには、「一日の動きの中で、どのタイミングでもオープンワークの広告を見る」という連動性を作り出すことがカギになると考えたからです。

 一日の動きって、朝起きてスマートフォンを見て、駅に着いて電車に乗って、また駅に着いて、会社にいる……という感じですよね。どのタイミングでも広告に触れてもらうためには、物理的な強制力があるOOHは強力な媒体です

 もう一つは「強いクリエイティブが作れない」というWebやSNSの弱点を解消するため。今の時代、消費時間について考えると、Webはリアルよりも明らかに強い。一方で、Webのクリエイティブは2Dの中で展開しなければならない制約があるため、どうしてもインパクトがある絵を作りづらい。

 現に「この一年で記憶に残ったWebのプロモーションってありますか?」と聞いても、ほとんどの人が思い出せないのではないでしょうか。

 しかし、3D、つまりリアルな場で表現したものを2Dにもってくることができれば、強い絵でWeb上に面を張れる。だから、強いクリエイティブを作れるOOHという場を利用して、それをSNSやWeb上に落とし込んでもらうという仕掛けにしたのです。

――最後に、今回のキャンペーンを振り返っての感想を教えていただけますか。

北野:ベンチャー企業であり、広告予算の少ないオープンワークがこれだけのキャンペーンを展開できたのは、「弱者の生き残り戦略」として、大企業がやらないことを徹底的にやったからだと考えています。今回は、クリエイティブにこだわり抜いたことがそれに当たります。

 もう一つ、ベンチャー企業のマーケティングにとってこれから大きな資源になるだろうと考えているのが、「自社の社員によるクチコミ」がもつパワーです。社員が広告をシェアして背景を語ったり、クチコミを発生させたりというのは、大企業ではほとんどやられていませんが、大きな影響力をもつ。今は注目されていないけれど、実はみんなが多くの時間を費やしていることを利用していくのが、「弱者の生き残り戦略」ですよね。

 今回のキャンペーン中、オープンワークの社員はSNSを通じてたくさん発信してくれて、フォロワーの多い役員や僕はそれを盛り上げました。オフィスもお祭りのような雰囲気だったと聞いており、とても良いことだと思っています。

 社員の力を引き出すには、社員が喜んでシェアしてくれるような、美しくてかっこいいクリエイティブを用意することが必要です。お客様のことはもちろんですが、社員のことも考えながら、マーケティングに巻き込んでいけると良いのではないでしょうか。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/09 11:23 https://markezine.jp/article/detail/31606

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