データ活用で顧客満足度、グッズ購入率も向上
平地:Jリーグチケットでの購入率が上がったことで、そこで得られたデータをもとに施策が行えると思いますが、どのような形で活用していますか。
清水:たとえば来場実績のデータを活用し「勝利の女神クーポン」という企画を行いました。2018年8月はチームの調子が良く、8月のホームは完売2試合を含む4試合で全勝することができました。そのときにご来場いただいた女性の方を対象に「あなたは勝利の女神なので10月に試合にも来てください」とクーポンを配信しました。来場データからアイデアを考えることで、お客様の気持ちをくすぐり、「私が勝利につながるスタジアムを作るんだ」と思っていただける企画になったのではないかと思います。

遠藤:来場回数に応じていくつかのセグメントに分け、各セグメントの満足度も調査しています。また、同じデータに対しても、来場回数だけでなく、どの施策によって来場するに至ったかという別の軸での分析も行っています。
平地:来場データの使い方が秀逸ですね。集客以外でもデータ活用は進めていますか。
清水:Jリーグチケットのデータとは別軸ですが、定期的にお客様へのアンケートを行い、そのデータも活用しています。たとえば、各イベントへの参加率と満足度を調査して、クロス分析を行うことで、参加率は低いが満足度は高いなど、参加者の数など定量的なデータだけで誤った判断をしないような取り組みも行っています。
また、去年は猛暑で、暑さを理由にスタジアムに行くのをやめようと思われている方が5~10%ほどいることがわかりました。そのため、濡らしたマフラータオルを配布する、試合開始時間には客席はこれくらい日陰になるという情報を発信するなど、アンケートデータをもとにお客様への暑さ対策を行いました。
遠藤:その他にも、お客様の声から入場時に混雑するという課題が浮かび上がってきたので、席種ごとにオススメの入場時間と一番便利なゲートを案内するメルマガをセグメント配信しました。その結果、混雑を緩和でき、お客様の満足度が上がったアンケート結果が出ました。時間に余裕ができたことで、グッズや飲食の購入率が上がるという副次的な成果も出ました。
自社サイト以外のデータ活用も視野に
平地:今後のデータ活用に関する展望を教えてください。
清水:Jリーグチケットで購入してスタジアムに足を運んでもらうという施策だけでは、どこかで上限が来てしまいます。そのため、他のサービスに登録されている方にアプローチする方法を模索しています。
遠藤:データ活用の観点では、好きな選手や好きな対戦カードなど、ユーザー情報をもっとラベリングしていきたいですね。ゆくゆくはグッズや飲食物の購入などの接点も増やしていきたいです。また、勝利につながるスタジアムを作り上げるために入場者数を増やすことが最重要KPIなので、ホームタウンに根付いた施策も今後取り組んで行きたいと考えています。