プラスクラスの平地大樹氏とともに、スポーツ業界のマーケティングの現状と課題、今後について探る本連載。今回は、近年入場者数を伸ばしているJリーグチームの一つである名古屋グランパスの清水克洋氏、遠藤友貴彦氏にインタビュー。入場者数増加を実現したデータ活用に関する様々な取り組みについて話をうかがった。
データ活用したマーケティングを強化
平地:まず、清水さんと遠藤さんの担当領域について教えてください。
清水 克洋氏
中央:同社 マーケティング部 ファンデベロップメントグループ グループリーダー
遠藤 友貴彦氏
右:株式会社プラスクラス 代表取締役 平地 大樹氏
清水:私は名古屋グランパス(以下、グランパス)の事業全般を統括しながら、マーケティング部の部長を兼任し、デジタルマーケティングを含む、クラブにおける全マーケティング施策の企画・実施をマネジメントしています。
遠藤:私はマーケティング部内でお客様にグランパスをいかに好きになっていただけるかを追求するファンデベロップメントグループのリーダーとして、データベースの構築からデータを活用した施策の立案、実行までを行っています。2014年から、データベースの構築をスタートし、本格的にデータ活用が進んだのは2016年からになります。
平地:マーケティング部は現在どのような体制になっているのでしょうか。
清水:組織体制として、マーケティング部門には運営グループ、イベントプロモーショングループ、ファンデベロップメントグループ、グッズ販売などを担当するマーチャンダイジンググループという4つのグループが存在します。各グループが連携し、デジタルからリアルの施策まで一括して行える体制を目指しています。
公式サイトでのチケット購入率を80%へ
平地:グランパスでは、Jリーグ公式のチケット販売サイトである「Jリーグチケット」経由の購入率を大きく伸ばしたと聞いています。なぜそこでの購入率を伸ばそうと考えたのでしょうか。
清水:グランパスは、2010年に優勝したにも関わらずその後の入場者数を上手く増やせずにいました。入場者数の伸び悩みという課題の原因を探している中で、お客様がなぜスタジアムに足を運んでいるのか、試合観戦という体験を通じてどういうことを感じているのか、といったお客様の想いを改めて理解しなければならないことに気づきました。
遠藤:しかし、お客様を理解する上で必要なデータが不足しており、かつ取得すること自体も難しかったのです。2015年の段階では、Jリーグチケットでの購入率が17%で、コンビニやプレイガイド、スタジアムでの直接購入など、データの取得できない方法で購入される方が80%以上という状況でした。そのため、まずはお客様一人ひとりの購買状況などを把握できるように、Jリーグチケットでの購入を促す取り組みを行いました。現在の購入率は80%を超えています。
平地:4年間で大きく伸ばしましたね。具体的には、どのような施策を行ったのでしょうか。
遠藤:まずはJリーグチケットで購入しやすい導線作りを行いました。以前は公式サイトの中にチケット購入方法をすべて掲載し、お客様が購入方法を選ぶ形でした。そこで、クラブから直接告知ができるWebサイトやチラシに関しては、まずはJリーグチケットでの購入方法をご案内するようにしました。
平地:クラブ内から「他の購入方法の導線を弱くすることで売上が減るんじゃないか」と心配する声は出なかったんですか。
遠藤:そのような声もありましたが、「仮に一時的に売上が減ることになったとしても、お客様の顔が見えないままではお客様の想いを理解できず、スタジアム来場につながる施策を打てない」と説得し、社内の理解も得た上で進めていきました。
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平田 順子(ヒラタ ジュンコ)
フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...
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