“お金を払ってでも行きたくなる店舗”を作る
原嶋:テクノロジーを活用し、よりパーソナライズされた接客を目指されているのですね。店舗のデジタル化も進められているのでしょうか?

加藤:はい。現状はサイネージを導入した程度なのですが、今後は顧客行動データをすべてとっていくための仕組みを構築していきます。どのように店舗を回遊し、何を試着したのかなど、アイトラッキングも含めて、とにかくオフラインのデータはすべて収集し、DMPに格納して、それをベースに様々なアクションにつなげていきます。
一方で、無人レジやバーチャル試着など、店頭体験を向上させる意味でのデジタル化も推進しています。ただ、お客様がそれほど求めていない場合もあるので、まずはポップアップストアとして、試験的にデジタルストアを展開します。そこで検証を重ねて店舗の体験価値が最高値になれば、最終的には“お金を払ってでも、行きたくなる店舗”が作れると考えています。
原嶋:まさに、モノ消費からコト消費への転換ですね。お話を伺っていると、かなりの深度でデータ連携が進んでいることがわかります。
加藤:データ統合に関しては、早い段階から取り組んできたからだと思います。会員情報、サービス、在庫(店舗・ECの倉庫在庫だけでなく、リテール用の倉庫在庫、モールなどの在庫含む)、マーケティング(ROASの統合、DMPを導入)と、あらゆる領域で統合を進めています。各所を統合し、基盤ができたので、お客様のニーズを即座に把握し、その場で最適なコミュニケーションを取れるようにしました。
クロスユースを促進するKPI設計とは?
原嶋:クロスユースを促進するにあたり、KPIはどのように設定されているのでしょうか?
加藤:基本的に、各ブランドのECと店舗の合算値を追うようにしています。マーケティング面で言うと、ネット広告のROASも店舗とECで合算しているんです。

原嶋:具体的にどのように計測されているのでしょうか?
加藤:Googleの来店コンバージョン計測機能(広告クリックやインプレッションが、どれだけ来店に寄与しているかを把握できる機能)を活用しているので、Webのプロモーションがどれだけ実店舗の来客数に寄与しているかを計測しています。さらにPOSデータとも連携し、来店した方が実際に購入しているかどうかまで計測しています。
また、AI活用も進めています。機械学習を使って、オンラインとオフラインのデータから、LTVの高そうなユーザーを予測するアルゴリズムを開発しました。LTVが高くなりそうなユーザーに向けてどのような施策を当てていくのかを、R&D的に推進しているところです。