OMOにPOP UP店舗が有効な理由
山崎氏曰く、海外の小売店舗では、商品の横にQRコードが貼ってある店が多いそうだ。手の込んだものではなく、紙にQRコードを印刷して切り、テープで貼ったようなものもあるという。
たとえば、山崎氏が行ったアロマショップの店舗では、商品の横にあるQRコードをスキャンするとWebページに飛び、アロマの成分や効能などを詳しく知ることができたとのことだった。
「実際に商品に触れるという点で、やはり店舗は圧倒的な強さを持っています。ですが情報収集と購入に関しては、デジタルデバイスを使ったほうが便利です。よって、オフライン to オンラインの形が最終的には自然になるのではないかと思っています」(山崎氏)
ユーザーが店頭で商品を見ながら口コミなどより詳細な情報を検索する動きは、もはや止められない。また特にデジタルネイティブ、ミレニアル世代の間では、注文・予約・支払い・領収書の発行などリアルよりも便利かつ安全なものはデジタル上ですべて済ませてしまう。
リアルとデジタルの良さを組み合わせて提供するPOP UP店舗は、CXの向上はもちろん、CVRや購買単価の上昇も見込めるというわけだ。
OMOでは“レビュー”が重要なデータとなる
続けて山崎氏は、OMO強化を進める際、特に重要となるデータとして“レビュー”を挙げた。レビューには売り上げ増加の効果があるとし、次のような統計データが共有された。
レビューが1つもないECサイトの商品に、レビューが1つつくと、サイトの売り上げが10%増加。10個のレビューがつくと売り上げは1.5倍、50個つくと2倍になる。
※出典:Smart Insights『The impact of customer reviews and ratings on conversion rates』)
とはいえ、レビューを導入するとなると、誹謗中傷を受けるリスクが懸念されるだろう。しかし「耳に痛い批判は受けなければいけませんが、明らかな誹謗中傷を載せる必要はありません。最終的にレビューはユーザーの体験にとってプラスになる。これこそCXの核心の一つではないかと思います」と山崎氏。
実際に、ZETAのレビューエンジン「ZETA VOICE」を実装したアパレルECサイトは、2ヵ月で約3,000件のレビューが集まり、売り上げも向上したという。それだけでなく、多くのECサイトが課題視している返品率の低下や、購買率の上昇、さらにはレビューを製品開発につなげるといった効果もあった。
なお、この事例はMarkeZineの記事「熱量あるコメントでCVR最大250%の成果も サンエー・ビーディーのレビュー活用マーケティング戦略」でも紹介している。
デジタル上にあるレビューなどの情報は、店頭購買にまで影響を与え始めている。この点において山崎氏は、「レビュー施策はOMOに有効である」とし、さらに「レビューは“商品検索”の向上にもメリットがある」と話を続けた。