SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

モバイルアプリデータから紐解くファクトフルネス

急拡大するヘルステック市場 破竹の勢いで急伸する海外勢への対処法

1ヵ月に1回以上使われるアプリは平均35個

  日本のヘルスケア系モバイルサービスの規模はまだまだ小規模ですが、投資体力のある外資企業が本腰を入れてマーケティングを強化すると一気に生活者に広がるということも、データから読み取れます。では、日本企業はこのヘルスケアの領域で、デジタル(ここではモバイル)の技術を取り入れてデータを活用していくために、何をすれば良いのでしょうか?

 データを活用するためには、「集める→整理する→分析する」というプロセスを経る必要がありますが、その前にまず企業が考えなければいけないことは、「何のためにモバイル技術(アプリ)を使うのか」という目標設定です。マネタイズをしたいのか、マーケティングとしてユーザー接点を増やしてエンゲージメント向上を狙いたいのか、それによって設定するKPIが異なります。KPIが異なれば、ベンチマークにする他社サービスは変わります。

 そしてデータを取得するためには、まずはアプリを起動して利用してもらわないといけません。App Annieによると、日本において、1ヵ月に1回以上使われるアプリは平均35個程度であり、生活者の限られた時間の中で、定期的に使われるアプリになるのは簡単ではありません。

新しい価値を顧客と一緒に創造する

 コトラー教授が提唱しているマーケティング4.0では、以下の様に定義されています。

「顧客が何を持つべきかを創り出そうと考えるのではなく、何を創り出したら顧客がもっと幸せになるのかを聞きながら、新しい価値をともに作っていくこと」

 つまり、新しい価値創造は、顧客から得られる声を得ながら顧客と一緒に作っていくものとあります。この「新しい価値」はまさにDXの文脈と重なりますし、顧客から声を聞く、という点についてはまさに今回の文脈である「生活者のデータを取得する」ことと理解することができます。

 「RPAで業務効率化」とDXの文脈で語られることが散見される一方で、DXは「新たな価値創造のための変革」と経産省やCDO Clubにて定義されています。作業負担を減らして処理速度を上げる、等の業務効率化がDXではありません。このヘルステックの領域においても、DXやマーケティング4.0で言うところの「新たな価値創造」が肝になってきます。この記事で紹介した外資勢は、既にこの文脈に沿って新たなサービスやビジネスを構築し、市場を着々と拡大しています。

 「新たな価値創造」を行うことで、生活者はサービスに触れ、その結果として企業は生活者のデータを取得することが可能になります。目先の収益だけ追うのではなく、データを継続的に取得するために新しい価値創造をしていく、という発想でビジネス企画をするマーケターが、求められているのです。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
モバイルアプリデータから紐解くファクトフルネス連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

向井 俊介(ムカイ シュンスケ)

App Annie Japan 代表
国内IT企業を経て、世界最大の企業情報企業である米Dun And Bradstreet、外資系ITリサーチ・コンサルティング企業である米Gartnerにてセールス職として様々な業種を横断的に担当し、経営者レベルとのビジネスを推進。App Annieにおいては、15年以上のセールス経験の大...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/11/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32274

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング