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チャットコマースの可能性を探る

広告は一方通行から“対話型”へ ユーザーの意思を汲み取る「チャットコマース」の可能性

 今、広告業界は変革の時を迎えています。従来の“行動データに基づくターゲティング配信”に対する消費者の嫌悪感は日々高まり、またそうした消費者の変化を敏感に捉え、個人情報保護の観点からCookieの制限も起き始めています。そんななか、今海外で新たに注目を集めているのが「チャットコマース(海外ではConversational Commerce/略称CC)」という手法。本稿では、広告業界の現状・課題を解説するとともに、ユーザーの意思を汲み取り、新しい接客体験を届けることができる「チャットコマース」の可能性を探ります。

購買プロセスの変化

 近年、ユーザーの購買プロセスが変化している事によって、従来の広告ではモノが売れにくくなっています。古くは「AIDMA」から始まり、「AISAS」「AISCEAS」と時代に合わせて変化を続けてきた購買プロセスのフレームワークですが、現在は「DECAX」と表現されるケースが多いです。

 「DECAX」とは、Discovery(発見する)→Engage(関係を持つ)→Check(確認する)→Action(購買する)→eXperience(体験する、共有する)という順番でユーザーが取る購買行動のこと。ここから、現代ではユーザー自らが発見し、体験した情報を共有するプロセスを能動的に踏む購買モデルができあがっていることがわかります。

 そもそもこれまでの購買モデルでは、ユーザーと売り手との関係を築くプロセスが存在しておらず、「購入と販売」以外のやりとりは行われてきませんでした。しかし、最新の購買モデルであるDECAXでは、「Engage(関係を持つ)」のプロセスが最も重要視されています

 では、「ユーザーとの関係を築く」とは、具体的にどのようなプロセスなのでしょうか。ここで言う「関係」とは、ただ一方的に情報を送る/送られるという関係ではなく、売り手は「ユーザーの求めるコンテンツを提供する」。ユーザーは「自ら求めるコンテンツに触れ、売り手への理解を深める」。というような、「双方向の関係」のことを言います。

 このような関係を築くためには、ユーザーと売り手が意思の疎通を図り、相互理解を深めていくマーケティングを仕掛けていく必要があります

集客の広告手段は多様化している

 購買プロセスの始まり、つまりユーザーを集める「集客」の手段自体は幅広く、様々な広告手法を選択することができます。主要なものだけでもSNS広告、リスティング広告、動画広告、アプリ内広告など、多様な手法が存在します。一方で、幅広い広告手段で集客した後、離脱したユーザーに向けた広告手段も同じように多様化しているのかと言うとそうではなく、主に使われているものはリマーケティング、リターゲティング広告のみ

 リマーケティング、リターゲティング広告は、ユーザーをリスティングし、広告を配信する方法です。リストアップは「そのユーザーは何日前にサイトを訪問したのか、その際はどのページまで閲覧したのか」というデータを基に行われます。つまり、このリストは「過去、そのユーザーがとった行動」を追いかけるものであり、「今、そのユーザーが何を求めているのか」という、最も重視されるべき情報が含まれていないのです

 このように、リマーケティング、リターケティング広告は、本来重視すべき“ユーザー本人の意思”がリアルタイムで反映されていないため、せっかく集客してもコンバージョンする確率が低いという課題があります。その結果、「リマケ/リタゲ広告業界では、1~3%の低いコンバージョンレートが当たり前」という認識になりつつあるのです。

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この記事の著者

遠藤 竜太(エンドウ リュウタ)

株式会社Zeals 取締役COO

京都大学大学院ヒューマンインターフェース論 修了。研究者を志し、人と機械のインタラクティブを学ぶ。受賞歴:HIシンポジウム優秀賞など。テクノロジーの社会応用に目覚め、アドテクカンパニーFreakOutに入社、その後Zealsにジョイン。国内最速の2016年からチャットボットを活用したチャットコマースサ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32337

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