CDOのシェアリングサービスを開始
――先日、江端さんが代表を務められているエバーパークは「CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)のシェアリングサービス」を開始すると発表されました(参考:プレスリリース)。まず、サービス開始の経緯を伺えますか?
江端:私は今年の5月にスポーツニッポン新聞社のCDOに就任しました。また、その他複数企業において、“CDO的な立場”としてアドバイザーをしています。そうしたなかで、デジタル変革をしたいと思っている企業は多い一方で、「何をしたらいいかわからない」という企業が大半だということがわかりました。
現在の日本においては、「デジタル変革を必要としている企業」と「デジタル変革ができる人」を比べると、後者が圧倒的に少ないのです。足りないのであれば、「シェア」するしかないな、と思ったのがサービスを開始したきっかけです。
――日本企業にもCDOという立場の方は増えてきているように感じます。内部CDOよりも外部のほうが良いのでしょうか?
江端:内部でもやろうと思えばできると思いますが、今の日本に必要なのは“プロセスをデジタル化する人”ではなくて、“ビジネスモデル自体をデジタル化できる人”です。内部からビジネスモデルをデジタル化するとなると、自身がこれまでやってきた仕事を否定しなければならない場面も出てくると思いますし、そもそも知見がないから思いつかないということもあります。
DXには経営的な視点、マーケティング的視点など、様々なケイパビリティが必要です。それを全部一人で持ち合わせいる人は少ないと思うので、足りない部分は外部に支えてもらうのが良いと考えています。
また少し長期的な話をすると、CDOは企業にとってずっと必要な存在かというと、私はそうではないと考えています。ある程度変革ができたら、CDOは必要なくなります。そのため、必要な期間だけ借りるという選択肢もあるのではないかと考えています。
――なるほど。ということは、今からCDO人材を育成しようとすると遅いのですね。
江端:遅いですね、完全に手遅れです。今、サブスクリプションモデルの登場などで、業界が急速に変革してます。逆に言うと、今まさに大きなチャンスが広がっているんです。それなのに、ゆっくりと人を探して、育てて……とやっていては、気がついた時に手遅れだった、ということになりかねません。