クラシル流・Instagram運用の秘訣とは?
MZ:アカウント運用を日々続ける中で、どのようなことを意識していますか。
野村:「アカウントとしてどういったコンテンツを提供することがユーザーにとっての便益になるのか」という点を突き詰めて考えることが非常に大事であるという前提で、そのために表現をどう工夫するとユーザーに届きやすいかを仮説立てながらPDCAサイクルを回し続けることを常に意識しています。直近では、カルーセルのフォーマットを使った投稿が効いています。特にInstagramのユーザーは、レシピを保存して後から見返していることがわかっていたので、「白菜レシピ3選」「つくりおきレシピ3選」とテーマ別にレシピをカルーセルでまとめました。
このように、Instagram上のユーザーの動きに、どういった意図があるのかを理解し、最適な形の発信を日々続けてPDCAを回し続けています。
MZ:マーケティングにおいてInstagramはどのような役割を果たしていますか。
野村:アプリやWebなど、自社で作っているサービス以外の場所で、ユーザーとの接点を作り、認知を取る役割を果たしています。Instagramはオーガニック投稿にはリンクを貼れないため、アプリストアへの遷移やダウンロード数にどれくらい寄与したかを直接的に見ることはできません。そのため、目的をアプリのインストールやユーザーのアクティブ化などの「直接的な貢献指標」に置いてしまうと、効果が見合わなくなってしまいます。
でもクラシルのInstagramをフォローして投稿を見てくださったり、保存をしてくださったりすれば「クラシルっていいな」と思ってくれる方も増えるはず。そしてふとしたタイミングで、クラシルのアプリの広告と接触したときにユーザーになってくださるのではないかと思っています。
ダイナミック広告で数万本のレシピ配信をほぼ自動化
MZ:広告活用に関してお聞きしたいのですが、現在はダイナミック広告をメインに活用されているそうですね。
栗原:Instagramでは、新規ダウンロードを目的とした広告はすべてダイナミック広告による配信です。それ以外の手法も試してはいるのですが、CPIが一番良い上に手間もかからないので、ダイナミック広告は非常に有効だと思っています。
また、Facebook広告のうち、Instagramフィード面への配信が6割〜7割となっており、我々にとってInstagramは、広告という視点でも重要な媒体になっています。
水谷:多くのコンテンツを持つエンターテインメント&メディア企業様と、ダイナミック広告の親和性は非常に高いと思います。レシピといっても、人によって見たいコンテンツは絶対に違うはず。それをマーケティング担当者が一つひとつ仮説を立てて入稿して、全部ターゲティング設定を変えるのは、大きな手間がかかります。
ダイナミック広告ではそうした作業を自動化できるので、数万本というレシピ動画をお持ちなら、絶対に移行したほうが良いとご提案しました。
MZ:運用工数が大幅に下がるダイナミック広告ですが、導入にはどのような手順が必要になりますか。
栗原:データフィード(製品カタログ)を作成して、それをFacebook上のサーバーにアップロードします。アプリの場合はSDKの実装も必要ですが、初期設定を一通り終えれば、非常に楽になると思います。
宮地:以前はデータフィードを作る際、すべてのコンテンツのタイトルや食品の材料など一連のデータを出さなければいけなかったので、非常に時間がかかっていました。しかし昨年リリースした「スマートピクセル」によって、その作業も自動化できるようになりました。データフィードの作成にかかる工数も削減できています。
野村:弊社のマーケティング部は開発部との連携もかなり密なので、導入はそこまで手間はかかりませんでした。広告入稿の作業時間が圧倒的に減ったので、他の業務をする時間が生まれました。